2021 Fiscal Year Research-status Report
酵素には不可能なヒストン超アシル化による生細胞エピゲノム操作と理解
Project/Area Number |
21K19326
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山次 健三 東京大学, 大学院薬学系研究科(薬学部), 助教 (30646807)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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Keywords | 触媒 / ヒストン / 生細胞内反応 / アシル化 / プローブ |
Outline of Annual Research Achievements |
生命はDNAやタンパク質などの生体分子とそれらに介在する化学反応から成る。その代表がタンパク質の翻訳後修飾(PTM)であり、多くは酵素によって導入される。しかし、生体に介入しうる化学反応は、酵素が触媒するものに限定される必要はない。本研究では、遺伝子転写に関与するヒストンタンパク質を対象に、本来生体にはない翻訳後修飾、特にリジン残基のアシル化修飾を化学触媒により導入し、細胞のエピゲノムを操作すること、細胞の応答を理解することを目的とする。 令和3年度ではまず、天然・非天然にわたるさまざまなアシル化修飾を細胞内で目的タンパク質に対して高収率・高選択的に導入可能な化学触媒系を、モデルタンパク質を用いて開発した。本触媒はヒドロキサム酸を求核触媒中心として有し、さらに分子内にジオール基を有する。これに対し、フェニルホウ酸基を持つアシルドナーを用いることで、触媒とアシルドナーが細胞内で可逆的に結合し、ヒドロキサム酸によるアシルドナーの効率的な活性化が可能になる。本触媒系は我々が従来用いてきた触媒と比較して、100分の1の濃度で3倍以上のアシル化活性を示し、本研究が掲げるヒストン超アシル化を導入する準備ができたと考えている。 次に、開発した触媒系をヒストンに対しても適用できるかを検討したところ、生細胞内においてヒストンH2Bに対して高収率かつ選択的なアシル化修飾を施すことに成功した。現在は、細胞が持つ内在性のヒストンに対して化学的に蛍光プローブを導入することで、ヒストンタンパク質のダイナミクスを可視化する検討を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
従来の触媒を上回る高活性な触媒を開発し、すでにヒストンに対して非天然型のアシル化を生細胞内で導入することに成功しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
先述したヒストンダイナミクス可視化の成果についてまとめる。また、そのほかの機能プローブを導入し、たとえばヒストン相互作用分子の網羅的同定などへと展開する。
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Research Products
(4 results)