2023 Fiscal Year Annual Research Report
急性相蛋白質オロソムコイドによる蛋白尿抑制の分子基盤解明と慢性腎臓病治療への応用
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21K19340
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
渡邊 博志 熊本大学, 大学院生命科学研究部(薬), 教授 (70398220)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸山 徹 熊本大学, 大学院生命科学研究部(薬), 教授 (90423657)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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Keywords | 敗血症 / AGP / オロソムコイド / 炎症 |
Outline of Annual Research Achievements |
敗血症は、病原微生物の感染により生体防御反応が制御不能に陥ることで、腎障害をはじめとする臓器機能不全となる病態である。長年、敗血症の原因は病原体に対する過剰な炎症反応によるものだと考えられていたため、敗血症初期の炎症反応に関与する分子を標的とした治療薬の開発が進められてきた。しかし、それら治療薬候補の有効性は乏しく、依然として新たな治療標的を見出すことが希求されている。本年度は、LPS誘発敗血症モデルマウスを用いて、敗血症病態におけるAGPの病態生理学的役割について明らかにすることを目的とした。その結果、以下の知見が得られた。1)C57BL/6NマウスにLPSを腹腔内投与したところ、12時間以降において血清中AGPの上昇が観察された。2)野生型(WT)およびAGP-KOマウスにLPSを腹腔内投与し、120時間までの生存率を評価した。その結果、AGP-KOマウスにおいて生存率の有意な上昇が観察された。3)WTマウスに対するLPS投与6、12時間後にヒト由来AGP(hAGP)を投与し、外因的に負荷したhAGPの影響を評価した。その結果、hAGP投与により生存率の有意な低下が観察された。また、マウス由来マクロファージ細胞(RAW264.7)を用いて、LPS誘発の炎症応答に与えるhAGPの影響について評価したところ、hAGPの添加により炎症性サイトカイン分泌が上昇した。4)アデノウイルス(Ad)を用いたマウス強発現系構築のため、Ad-hAGPを作製し、WTマウスにAd-hAGPを投与した。Ad-hAGP投与7日後に血清中AGPタンパク質発現および肝臓中AGP mRNA発現の上昇を確認した。各Ad-hAGP投与7日後にLPSを投与し生存率を評価した結果、Ad-hAGP投与による生存率の有意な低下が観察された。従って、LPS誘発敗血症モデルマウスにおいて、AGPが敗血症病態の進展に関与する可能性を示した。今後、AGPを治療標的とした新規治療薬の開発が期待される。
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Research Products
(10 results)