2023 Fiscal Year Research-status Report
Critical roles of smooth muscle cells on novel mechanisms of vascular remodeling
Project/Area Number |
21K19343
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
鈴木 良明 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(薬学), 講師 (80707555)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2025-03-31
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Keywords | カルシウムシグナリング / 血管平滑筋細胞 / 興奮転写連関 / 光遺伝学 / マクロファージ / 血管リモデリング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では分子<オルガネラ<細胞<組織<個体の多階層検証により、血管平滑筋細胞(VSMC)を主軸とした代表者独自の血管リモデリング形成仮説を包括的に実証することを目指す。 これまでに、平滑筋特異的チャネロドプシン発現(SMC-ChR2-YFP)マウスを導入し、光遺伝学により生体内の血管平滑筋を特異的に刺激する系を確立した。光刺激により、細胞および組織レベルでL型電位依存性Ca2+チャネルが活性化し、細胞内Ca2+濃度が上昇した。さらに、持続的な光刺激により、ケモカインや接着分子などの炎症性遺伝子の発現が上昇することを見出した。この遺伝子誘導はL型電位依存性Ca2+チャネル阻害薬ニフェジピンの投与により抑制された。また、光刺激により、血管外膜へマクロファージが集積することも明らかになった。以上より、血管平滑筋細胞の持続的な脱分極は、興奮転写連関を介してケモカインや白血球接着分子などの炎症性遺伝子の発現を増大させて、血管炎症を引き起こすことが示唆された。 血管平滑筋細胞(VSMC)は種々の刺激に応じて部分的に脱分化し、増殖型VSMC(pVSMC)に変化する。pVSMCがCa2+シグナリングを介して増殖や遊走することで病変が成熟し、動脈硬化を基礎とする多様な疾患につながる。細胞膜-小胞体架橋分子ジャンクトフィリン(JP)-2が、Ca2+遊離活性化Ca2+(CRAC)チャネルを中心とするCa2+マイクロドメインを形成し、カルシニューリン・NFAT系を駆動することでVSMCの増殖に関与することを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
光遺伝学を用いた平滑筋特異的刺激によるリモデリング誘導は、本研究で挑戦する主要な課題である。当該年度にはSMC-ChR2-YFPマウスと青色LEDを用いた光刺激により、血管組織内で興奮転写連関を誘導することに成功した。また、JP2がpVSMCにおいてCa2+マイクロドメインを形成して細胞増殖を促進することを明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
SMC-ChR2-YFPマウスに対してin vivo光刺激を与え、興奮転写連関がMΦの集積や血管平滑筋細胞の脱分化・増殖、血管リモデリングを誘発するか検証する。また、脱分極刺激から興奮転写連関に至る分子経路を同定する。 JP2がpVSMCの増殖に重要であることを見出した。現在、JP2-floxマウスの導入を計画している。このマウスと平滑筋特異的にCreを発現するマウスを交配し、平滑筋特異的JP2遺伝子欠損マウスを作出する。JP2のノックアウトにより、実際に血管リモデリング形成が減弱するか否か検証する。
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Causes of Carryover |
In vivo光刺激の際に、外科的手術の影響で血管が刺激されてしまい、炎症性遺伝子の発現が上昇するという問題が生じた。この問題を解決するのに時間を要してしまい、光刺激がマクロファージの遊走や平滑筋細胞の増殖を引き起こすのか十分に検証することができなかった。本年度中に安定的に光刺激を与えることが可能になったので、次年度ではin vivo光刺激がリモデリングを生じるか検証する。現状の手法で困難な場合は、アップコンバージョンを利用してより長時間光刺激を与える方法を確立する。
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