2021 Fiscal Year Research-status Report
A study of drug repurposing of oncolytic virus for idiopathic pulmonary fibrosis
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21K19483
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
櫻井 文教 大阪大学, 薬学研究科, 准教授 (70370939)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2025-03-31
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Keywords | 腫瘍溶解性ウイルス / 肺線維化 / 筋線維芽細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究の目的は、抗癌剤として臨床開発中の腫瘍溶解性ウイルス製剤(癌細胞特異的に感染して癌細胞を死滅させるウイルス)であるレオウイルスを、指定難病である特発性肺線維症の治療薬として開発することである。本年度はまずはじめに、ブレオマイシン誘導性の肺線維化モデルマウスを安定に作製することを試みた。ブレオマイシン溶液を気道内に直接投与することで、肺線維化マウスを比較的安定的に作製できることを確認した。現在、肺線維化モデルマウスにレオウイルスを静脈内投与し、脱線維化効果を検討している。また、Transforming Growth Factor-b (TGF-b)存在下で培養したヒト肺線維芽細胞にレオウイルスを作用させたところ、各種線維化マーカー遺伝子の発現が低下していた。しかし、その脱線維化効果は、肝星細胞における脱線維化効果と比較すると、若干弱いものであった。これは肺線維芽細胞では、レオウイルスの感染受容体であるJunction adhesion molecule-A (JAM-A)の発現が低いためと考えられる。なお、細胞生存率に大きな減少は観察されなかった。レオウイルスによる脱線維化効果誘導メカニズムの解明については、肺線維芽細胞に先立ち、強い脱線維化効果が観察された肝星細胞を用いて進めることとした。レオウイルス細胞後、肝星細胞における遺伝子発現をRNA-seqを用いて解析したところ、肝星細胞の機能がTGF-bによる活性化以前の状態に近づいていることが判明した。また、自然免疫関連遺伝子群が大きく発現上昇していることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ブレオマイシン誘導性の肺線維化モデルマウスの作製法が確立できたこと、RNA-seq解析によりレオウイルスによる脱線維化効果に関与することを予想される遺伝子群が絞り込めたこと、ヒト肺線維芽細胞に対しレオウイルスが脱線維化効果を示すことを明らかになったことなど、順調に研究は進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、ブレオマイシン誘導性の肺線維化モデルマウスを用いて、レオウイルスの脱線維化効果について詳細に検討していく。またレオウイルスによる脱線維化誘導メカニズムの解明については、RNA-seqのデータを基にして、発現上昇が見られた遺伝子を中心に、その遺伝子の関与について検討を進めていく。現在は、高い脱線維化効果が観察される肝星細胞を用いて検討を進めているが、メカニズムが解明されたら、同様のメカニズムが肺線維芽細胞においても観察されるか検討を行う。
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Research Products
(4 results)