2021 Fiscal Year Research-status Report
Development of Adverse Events-free Local Anesthetics in Cryo-EM Structural Determination of Sodium Channels
Project/Area Number |
21K19517
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山内 正憲 東北大学, 医学系研究科, 教授 (00404723)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉野 繁一 東北大学, 大学病院, 講師 (00423765)
渡部 聡 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教 (50432357)
木下 賢吾 東北大学, 東北メディカル・メガバンク機構, 教授 (60332293)
鈴木 隆史 東北大学, 医学系研究科, 講師 (70508308)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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Keywords | 局所麻酔薬 / ナトリウムチャネル / 構造生物学 / 分子動力学シミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
局所麻酔薬は鎮痛作用以外にも,痺れ,感覚低下,さらに運動麻痺を伴うため,リハビリテーションの妨げや患者の医療に対する満足度を下げてしまう.さらにけいれんや循環虚脱を特徴とする局所麻酔薬中毒は重篤な合併症である.現在臨床で使用されている局所麻酔薬は脂質親和性が高いため,すべてのニューロンに入り込み,Naチャネルを無差別に遮断する.一方,過去の基礎研究から電位依存性Naチャネル(Navチャネル)のうち,疼痛伝達に関与するのはNav1.7,Nav1.8,Nav1.9の3種であることが判っている.しかしこれら3つのNavチャネルを選択的に阻害する分子はまだ同定されていない.本研究の目的は9つのNavチャネルのクライオ電子顕微鏡を用いた構造情報と,計算科学を基盤とした分子動力学シミュレーションで,Nav1.7,Nav1.8,Nav1.9の3つのチャネルだけに選択的に結合する分子を探索することで,新しい局所麻酔薬の創薬に繋げることである.2021年7月からプロジェクトは開始となった.まずわれわれはNav1.8に着目し,コードする遺伝子SCN10Aを人工合成し,クローニングを行った.また対照としてNav1.3をコードするSCN3AとSCN3Bもクローニングすることにした.しかし研究遂行上,大腸菌を用いた可溶性タンパクの発現精製系を用いず,ヒト細胞由来のHEK293培養細胞を用いたNavチャネルの発現精製を行うことが必要となった.そこでわれわれはHEK293培養細胞を用いたクライオ電顕試料作成に秀でた東北大学多元物質科学研究所の渡部聡を新たに研究分担者に迎え,研究計画を修正することにした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
まずわれわれはNav1.8に着目し,コードする遺伝子SCN10Aを人工合成し,クローニングを行った.また対照としてNav1.3をコードするSCN3AとSCN3Bもクローニングすることにした.しかし研究遂行上,大腸菌を用いた可溶性タンパクの発現精製系を用いず,ヒト細胞由来のHEK293培養細胞を用いたNavチャネルの発現精製を行うことが必要となった.そこでわれわれはHEK293培養細胞を用いたクライオ電顕試料作成に秀でた東北大学多元物質科学研究所の渡部聡を新たに研究分担者に迎え,研究計画を修正することにした.
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度の目標はクライオ電顕試料作成のプロトコルを開発することである.前年度に引き続いて,細胞実験を進める予定である.
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Causes of Carryover |
培養細胞の系を変更するという研究計画の修正を余儀なくされたため,当初の予定通り研究を進めることができなかった.今後は大腸菌を用いた可溶性タンパクの発現精製系を用いず,ヒト細胞由来のHEK293培養細胞を用いてNavチャネルの発現精製を行う計画である.
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