2023 Fiscal Year Research-status Report
新規骨肉腫自然発症マウスの開発と発症メカニズム解明への挑戦
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21K19612
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
松下 祐樹 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 准教授 (00713827)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
蟹江 慧 近畿大学, 工学部, 准教授 (80636407)
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Project Period (FY) |
2022-02-01 – 2025-03-31
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Keywords | 骨肉腫 / シングルセル解析 / 細胞系譜追跡 / 骨格幹細胞 / 骨髄間質細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
骨肉腫は本邦において年間200-300人程度が発症する希少がんであり、多くは10-20歳代で発症する。近年の治療法の進歩により生存率は大きく向上してきたものの、一方で進展例では予後不良のケースや、手術による四肢や顎骨の切断を余儀なくされるケースも未だ少なくない。そのため、さらなる病態の解明や治療法の開発が課題となっている。本研究では、様々な骨格系細胞(骨格幹細胞、間葉系前駆細胞、骨芽細胞、骨髄間質細胞)をそれぞれ細胞特異的に標識し、かつタモキシフェン誘導性に時期特異的に発現を制御できる複数のcreERマウスを用いることで骨肉腫の起源となる細胞を細胞系譜追跡によって見つけ出し、新規骨肉腫自然発症モデルを確立し、さらに発症のメカニズムの詳細をシングルセル解析を用いて明らかにすることを目的として研究を開始した。 これまでに骨格幹細胞特異的にp53を欠失(p53fl/fl)させたマウスに対して、生後21日でタモキシフェンを投与して細胞系譜追跡したところ、骨格幹細胞特異的にp53を欠失させることで、9ヶ月の時点で非常に大きな腫瘍形成を認めた。本年はp53を欠失(p53fl/fl)させた骨格幹細胞を採取し、培養したところ、コントロール細胞に比べて骨芽細胞マーカーや腫瘍マーカーの上昇が認められた。この細胞を免疫不全マウス大腿骨に移植したところ、in vivoにおいて骨肉腫を発生させた。 このことから骨格幹細胞は骨肉腫の起源となる細胞であることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
骨肉腫内の細胞多様性を解明する。
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Causes of Carryover |
骨肉腫を持つサンプルが年度内に得られなかったため、腫瘍の多様性を解析するシングルセル解析を次年度に行う。
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Research Products
(5 results)