2022 Fiscal Year Research-status Report
Development of a screening procedure for muscle hypertrophy/atrophy related molecules by using myotube cells and comprehensive gene knockdown
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21K19737
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Research Institution | Nippon Sport Science University |
Principal Investigator |
中里 浩一 日本体育大学, 保健医療学部, 教授 (00307993)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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Keywords | 筋萎縮 / Nsmaf / TNFα |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は以下の2点について研究を進めた。 1 骨格筋分化におけるNsmafの役割 neutral sphingomyelinase activation associated factor (Nsmaf)は中性スフィンゴミエリナーゼを活性化することでセラミド合成を調節する因子と報告されている。またNsmafはTNFαのシグナル伝達経路を調節する因子としても知られている。本年度はNsmafがTNFαシグナルに関与する直接的な証拠を得るためにまず培地中のTNFα濃度を測定した。その結果、筋分化前および筋分化後にTNFαが培養上清中に産生されることを確認できた。特に分化培地中に大量のTNFαが存在することが確認できた。さらにNsmafの過剰発現プラスミドを設計しSV40プロモーターにてNsmafを過剰発現させることでmRNA量にて10倍以上の発現誘導に成功した。ところが筋分化にはほとんど影響しなかった。以上からNsmafはTNFαシグナルにおけるゲートキーパーとして分化を制御する可能性が示唆された。 2 Foxo遺伝子群における探索的RNA干渉 当初は筋萎縮因子として位置づけられたFoxoタンパク質群は現在では多彩な機能を持つこと解明されつつあり探索的RNA干渉に最適と位置付けた。そこでFoxo遺伝子群の探索的RNA干渉を行ったところFoxo6は培養骨格筋細胞を強く分化誘導することを見出した。ただし先行研究においてFoxo6は骨格筋細胞の分化を促進することが報告されており、RNA干渉による分化誘導とは逆の挙動であることが示唆された。Foxo遺伝子群内でのオフターゲットの可能性は排除できないため複数のsiRNAを用いてFoxo6をノックダウンしたところ表現型の強弱は存在したがすべてのsiRNAにてFoxo6ノックダウンは骨格筋細胞の分化を誘導することが確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
筋分化因子としてのNsmafの役割解明は順調に進行している。さらに探索的RNA干渉によって新たな因子Foxo6を見出すに至った。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は以下の3点を中心に研究を進める。 1骨格筋分化におけるNsmafの役割:NsmafがTNFαシグナルを介して筋分化を制御することを直接的に証明するためにC2C12筋芽細胞に対して直接TNFαを添加することにより分化抑制を促す。その際にNsmafをノックダウンすることでTNFαシグナルを抑制し筋分化抑制を解除することが可能かを検証する。TNFα添加抑制のポジティブコントロールとしてTNFα中和抗体を添加しその効果を比較する。さらに2022年度にて自作した抗体によりNsmafタンパク質の定量を実施し2023年度内にNsmafに関する研究全体を総括することとする。 2 骨格筋分化におけるFoxo6の役割:2022年度における検討の結果、複数のsiRNAにてFoxo6はノックダウンされかつ筋分化を抑制することを見出した。本年度はこの観察を実験的に証明するために筋分化因子(MyoD, myogenin, MRF4, myomixer, myomaker)やミオシン重鎖などをウエスタンブロット法によって分析する。筋たんぱく質合成量の分析にはピューロマイシン取り込み量から推定するSunSET法を用いる。予想通りの結果が得られたら次は筋萎縮モデル系を用いて萎縮した筋におけるFoxo6の発現量などの検討を進める。 3 機械学習による培養骨格筋スクリーニング法の確立:これまでの成果の蓄積によって筋形態制御に強い影響を与え、そのキャラクターが確立されているNsmaf、Foxo6のRNA干渉による微分干渉観察画像、筋分化マーカーによる染色像、筋タンパク質合成亢進時に膿染するピューロマイシン染色の教師画像をPCに機械学習させる。その後微分干渉像のみから筋分化促進あるいは筋タンパク質合成亢進を判断可能な機械学習を構築することで、ハイスループットな探索的RNA干渉系の確立を目指す。
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Causes of Carryover |
当初予算計画よりわずかに値引きが生じたため全額予算消化に至らなかった。
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