2022 Fiscal Year Research-status Report
時空間知能情報処理を実行するイオン伝導体ハードウェアの創成
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21K19797
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
大野 武雄 大分大学, 理工学部, 准教授 (90447144)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2025-03-31
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Keywords | 知能情報処理 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の目的は、イオン伝導現象に基づいて動作する時空間の概念を取り入れた新しい知能情報処理ハードウェアを創成することである。研究代表者はこれまでに、イオン伝導体材料自身が電気信号の入力頻度を自己判断して出力する「無機シナプス」動作を報告している。この動作の大きな特徴として情報の判断と記憶を同時に行える点を挙げることができ、これは非ノイマン型コンピュータの開発を推し進めると考えられる。 当該年度は、作製するハードウェアに必要な空間的な概念に注目し、イオン伝導によって成長する導電性フィラメントがマクロサイズとなるようなデバイス構造を検討した。マクロサイズのフィラメントは金属酸化膜中で成長するように設計および試作を行い、電圧印加によって電極間にフィラメントが成長することを確認する電気計測実験を行った。その結果、通常の抵抗変化型メモリで必要となる電圧値よりも一桁以上大きな値を用いることで、マクロサイズのフィラメント形成を確認した。また、フィラメントの形成と消滅が繰り返し行えることも確認した。これらの結果を用いることで、実デバイス中で単細胞生物の手足の動きを模倣することが可能になると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
マクロサイズのフィラメントの金属酸化膜中での成長は確認したが、複数の手足を同時に動作させるためのデバイス構造の試作に遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
単細胞生物の手足の動作はイオン伝導体中の酸素空孔や金属原子による導電性パスの伸縮によって再現されているが、複数の手足を同時に動作させるためのデバイス構造の試作を行い、その動作を確認する計画である。その後、それらの動作の時間変化をリアルタイムモニタリングする計測系の構築を行う予定である。
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Causes of Carryover |
当初予定していた複数電極を有するデバイス構造の試作の遅れのため、デバイス作製に必要な費用の未使用額が発生した。加えて、研究代表者の一時休業による補助事業の中断のため旅費およびその他の費用に未使用額が発生した。当該年度の未使用額は次年度のデバイス試作のための消耗品費および学会発表などの旅費として使用する計画である。
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