2022 Fiscal Year Research-status Report
木質由来バイオプラスチックの多岐機能性付与製造システム構築と評価
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21K19867
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
浅田 元子 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(生物資源産業学域), 教授 (10580954)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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Keywords | 木質由来バイオプラスチック |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、石油由来化成品のマイクロプラスチックが環境汚染だけでなく、家畜や魚類などに蓄積されて深刻な食料汚染を引き起こしている。それゆえ、石油以外の環境保全型原料から生分解性プラスチックを製造する必要がある。本研究では、地球上に最も大量に存在する天然有機資源であり、再生産可能な植物性バイオマスからのエコ型化成品の製造に挑戦するとともに実用化を見据えた機能性評価と使用後の環境影響評価を行った。バイオマス中で複雑に絡み合っているセルロースとリグニンを環境低負荷(水蒸気のみを使用)で迅速処理(数分程度で十分前処理効果があるため、実用化時における固定費や変動費を低コスト化)が可能な高活性水蒸気爆砕によって効率的に分離した後、水抽出、有機溶媒抽出により各画分(水抽出画分、有機溶媒抽出画分、水・有機溶媒抽出残渣画分)に分離した。有機溶媒抽出画分に含まれる低分子量リグニンの化学的特性(純度、数平均分子量や重量平均分子量等)を明らかにした後、エポキシ樹脂硬化剤として種々のエポキシ樹脂に混練した用いた場合のエポキシ硬化樹脂の熱機械的特性を検討した。有機溶媒抽出残渣物中にはセルロース以外に少量のリグニンが混在しているので、このリグニン除去前後のそれぞれのセルロース試料に対してグラインダー解繊処理を行い、得られたセルロースナノファイバーの熱機械特性に及ぼす残存リグニン量やグラインダー処理回数の影響を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
水蒸気爆砕装置の故障・修理のため当初計画通りに研究を進行できなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
種々のリグニン含有率のセルロースナノファイバーとポリ乳酸とを種々の割合で混練し、コンポジットを作製するとともにその熱機械的特性を明らかにする。また、低分子量リグニンを抽出分離するための有機溶媒の種類(メタノール、エタノールおよびアセトン等)によって得られる低分子量リグニンの化学的特性やエポキシ樹脂硬化物の熱機械的特性がどのように変化するかを検討する。
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Causes of Carryover |
水蒸気爆砕装置の故障・修理のため当初計画通りに研究を進行できなかったため次年度使用額が生じた。種々のリグニン含有率のセルロースナノファイバーとポリ乳酸とを種々の割合で混練し、コンポジットを作製するとともにその熱機械的特性を明らかにするための実験および国内外学会での研究成果発表に使用する予定である。
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Research Products
(3 results)