2021 Fiscal Year Research-status Report
Development of a method to specifically remove genetically modified organisms
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21K19875
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
加藤 祐輔 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 生物機能利用研究部門, グループ長補佐 (60214409)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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Keywords | 微生物の成長制御 / カウンターセレクションマーカー / 非天然アミノ酸 / 合成生物学 / ピロリジン / コドン表 / アンチコドン / プラスミドキュアリング |
Outline of Annual Research Achievements |
非天然アミノ酸Z-リジンを、特定のセンスコドンに対応して、タンパク質を構成する天然アミノ酸と競合的に導入することにより、Z-リジンを取り込んだ異常タンパク質を産生させ、機能喪失や毒性変異体を誘導する仕組みを構築した。この仕組みを用いて、標的とする微生物の成長・増殖や生死をコントロールする技術を開発した。 メタン生成古細菌に由来するピロリジンtRNA合成酵素・tRNAに由来するZ-リジン導入系は、リボソームにおいて合成されるタンパク質に、アンバー終止コドンに対応してZ-リジンを導入する。そのtRNAのアンチコドンは、合成酵素の基質認識に関与しないことを利用して、アンチコドンの配列をランダムに変異させたライブラリを合成し、Z-リジンをアンバー終止コドン以外の様々なコドンに対応して導入する系を構築した。対応するアンチコドン配列に応じて、Z-リジンを与えた時には、ほとんど変化ない場合から著しく成長が阻害される場合まで、多様な反応を示した。全てのアンチコドン配列について、その成長阻害効果との相関を明らかにした。コドン表によって定義された天然アミノ酸とZ-リジンの分子サイズ等の性質の乖離が大きい、コドン使用率が低くないほど強い毒性を示す傾向が認められた。また、縮重したコドンでは、エネルギー的により安定したコドンーアンチコドン対の形成が予想される組み合わせの方が強い毒性を示す傾向が認められた。耐性遺伝子を導入した上でクロラムフェニコール存在下で培養した場合、Z-リジン処理により致死性を示した。 次に、この方法を用いて、カウンターセレクションを行うプロトコルを開発した。強い毒性を発揮するアンチコドンをもつtRNAと、Z-リジンtRNA合成酵素をカウンターセレクションマーカーとして大腸菌に導入した。マーカーが脱落した菌を、Z-リジン処理によって特異的に選択することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
非天然アミノ酸による標的組換え微生物の特異的除去に成功し、論文として公表した。また開発した技術を、カウンターセレクションマーカーとして応用するプロトコルも確立し、論文として公表した。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに確立した非天然アミノ酸による標的組換え微生物の特異的成長制御および除去法を、大腸菌以外の細菌類に適用する。また、遺伝的安定性の向上や、他の成長・生死コントロール技術との複合により、より高い性能をもつ手法を開発する。
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Causes of Carryover |
論文発表が想定より早くなったため、論文執筆エフォートが大きくなった。そのため、ウェットな実験の実施エフォートが、予定より小さくなった。次年度により大きな実験エフォートを投じ、研究計画に基づいてウェットな実験を進める。また、コロナ禍の沈静化に伴い、情報収集や、他の研究者との議論などの活動を行う。
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