2021 Fiscal Year Research-status Report
A Cross-national Study on the Nature of Constitutional Rights about Marriage and Parenting
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21K20088
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中岡 淳 京都大学, 法学研究科, 特定助教 (50910840)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | 同性婚 / 婚姻の自由 / 親権 / 共同親権 / 親の地位 |
Outline of Annual Research Achievements |
交付申請書に記載の研究実施計画に従って、本年度は、婚姻の自由と親権の権利性(憲法上の権利規範としての性格)について、それぞれ研究報告をする機会を設けた。 まず、婚姻の自由については、①『新・判例解説Watch 2021年10月号』(日本評論社)にて、2021年3月17日に札幌地方裁判所で下された同性婚判決に関する判例評釈を公表した。また、同評釈の分析を更に深めるために、②京都大学公法判例研究会にて判例報告を行なった。その後、同研究会でいただいたご意見やご批判を踏まえて、同判決についての詳細な考察を加えた判例研究を法学論叢190巻5号(2022年2月)にて公表した。同判決の考察を通じて、改めて、婚姻の自由、とりわけ同性間のそれをどの憲法条文に基礎付けることが適切かについて議論を深めていくことが重要であることを認識することができた。 次に、親権については、③北陸公法判例研究会(2021年7月17日)において、2021年2月17日に東京地方裁判所で下された離婚後の単独親権制度の違憲性をめぐる判決についての判例報告を行なった。同研究会では、法制審議会で民法改正にも関わった家族法の研究者を招待し、共同親権制度の導入の是非に関する法政策的観点やフランス法との比較研究の観点から、同報告についてのコメントをいただく機会を得た。そして、同報告でも試論的に展開した「憲法上の権利としての親権の請求権的構成」というテーゼを更に比較法的な観点から検証するために、④関西アメリカ公法学会(11月27日、近畿大学)にて、「親の憲法上の権利の理論的正当性:アメリカ法における親権の憲法化とその現在地」というテーマで研究報告を行なった。同報告では、日本でも親権の権利性を裏付ける根拠として度々援用されるアメリカの最高裁判例を初期の段階から遡って調査し、親の権利の概念が同性カップルにも拡張されていく変遷を描写した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要にも記載の通り、本年度は研究課題につき三度の研究報告の機会を得ることができたことが上記評価を行なった理由として挙げられる。そのうち、二つの報告については、同年度中に公表論文として発表することができた。残りの一つの報告についても、次年度中に所属研究機関の紀要にて公表する準備を進めることができている。
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Strategy for Future Research Activity |
何よりもまず、2021年11月に関西アメリカ公法学会で行なった研究報告を論文として整理し直し公表することを目標とする。同論文の公表に目処が立ち次第、ドイツ法とフランス法における親権の法的性格に関する文献の調査を並行して進める予定である。また、時間の許す範囲で、筆者の親権に関するテーゼをアメリカ法における妊娠中絶規制と生殖補助医療の議論領域にも拡張して検証していきたいと考えている。
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Research Products
(8 results)