2021 Fiscal Year Research-status Report
米国ケネディ政権期における「平和のための宇宙」政策の研究
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21K20104
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
田渕 有美 大阪大学, 国際公共政策研究科, 招へい研究員 (10908792)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | 宇宙政策 / 冷戦政策 / 科学者 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、ケネディ政権期の「平和のための宇宙」政策決定過程における科学者の役割を明らかにすることで、従来「冷戦構造」の派生物として理解されてきたケネディの宇宙政策に新たな解釈を提示することである。新型コロナウィルスの影響で、海外資料収集を行うことが叶わなかったが、2021年度の研究実績としては、以下の点で進展があった。第一に、「アイゼンハワーの「平和のための宇宙」政策:NASA設立過程にみる科学者の役割」というタイトルの論文が、国内の査読付き学術誌において掲載されることが決定した。この論文は、以前に収集した大統領図書館や議会図書館の資料を用いて、文民宇宙機関設立過程において従来看過されてきた政権内科学者の役割を紐解くものである。具体的には、当初は独立した文民宇宙機関の設立に対して消極的な態度をとっていた大統領が、なぜ、やがて賛成の立場に転じたのかを示した。この論文は、後続政権期へと続く「平和のための宇宙」政策がどのように維持されたのかを示したという点で、本研究への橋渡しをするものである。第二に、オンライン開催された日本アメリカ史学会において、「米国宇宙政策黎明期におけるNASA設立とPSACの関係」というテーマで研究報告を行った。これは、上記論文の執筆前に行った研究報告である。内容としては、宇宙政策決定過程における、政権内科学者の大統領に対する影響力の大きさを問うものであった。この研究報告において、コメンテーターや参加者から今後の研究発展のための、貴重な助言を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、新型コロナウィルスの影響により、海外資料収集を行うことができなかった。その代わりに、学会報告を行い、論文掲載が決定した点では、概ね順調であるといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の第一の目標は、海外資料調査へ赴くことである。そして収集した資料を元に分析結果をまとめ、学会報告や論文執筆を行うことが次の目標である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスの影響により、海外資料調査や海外学会報告が叶わなかったことが理由である。翌年度は渡航可能となる見込みなので、ケネディ大統領図書館やNASA歴史局へ調査に行く予定である。
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Research Products
(2 results)