2021 Fiscal Year Research-status Report
伴侶動物に対する墓の成立に関する研究:公衆衛生・都市計画・ペット産業からの検討
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21K20186
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
辻井 敦大 立命館大学, 衣笠総合研究機構, 研究員 (50906766)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | 伴侶動物 / 墓 / 動物霊園 / 火葬炉 / 公衆衛生 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、(1)「動物霊園」に関する社会調査、(2)ペット産業に関する資料収集を行った。その詳細は以下となる。 (1)京阪神圏を中心に「動物霊園」ないしは「ペット霊園」と呼称される伴侶動物の遺骨を埋蔵する施設への社会調査を行った。ここではまず、「動物霊園」の多くが人間に対する墓と同じく石塔型の墓石を個別に建てる形式の墓地となっていたが、遺骨を集合的に埋蔵する形式の合葬墓だけが配置されている墓地も存在することを把握した。また、こうした違いに加えて、動物用火葬炉を併設している墓地と火葬炉を設けていない墓地が存在することがわかった。こうした事実から、「動物霊園」、ないしは「ペット霊園」と呼称されている施設は、事業者によって形式や定義が異なることが明らかになった。 (2)国会図書館を中心に、ペット産業に関する資料を収集し、分析した。ここでは、「墓地、埋葬等に関する法律」によって人間の墓地の開発と管理・運営は強く規制されているのに対して、「動物霊園」に対しては法規制が緩く、多様な事業者が参入して「動物霊園」を開発してきたことを把握した。しかし、近年では、動物用火葬炉に対する公衆衛生上の懸念から、「動物霊園」の開発を規制する条例を整備する地方自治体が増えてきていることがわかった。 以上で明らかになった「動物霊園」の形式と開発経緯を踏まえて、今後より分析をすすめていき、2022年度には得られた知見の学会報告と論文投稿を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度では、10月-12月にかけて「動物霊園」に関する社会調査を行うことができたほか、ペット産業に関する資料を収集・分析することができた。その上で、社会調査データと資料の分析から「今後の研究の推進方策」として収集・分析するべき資料・情報を特定することができたため、「おおむね順調に進展している」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究結果から、動物用火葬炉の存在が「動物霊園」の開発、管理・運営に大きく関わっていることが明らかになった。なかでも、2000年代から移動式の動物用火葬炉(移動火葬車)が普及したことが、「動物霊園」の形式の多様化に関わっていることが把握できた。こうした事実から、今後は動物用火葬炉をめぐる法制度や移動式の動物用火葬炉が成立した経緯についても情報を集める必要がある。その点を踏まえ、2022年度では移動式の動物用火葬炉が成立・普及した経緯と、「動物霊園」の成立がいかに関連していたのかを分析する。
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Causes of Carryover |
本年度に研究費を使用した際に、端数として74円のみがでたため。 この74円は、次年度の物品費として使用する予定である。
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