Outline of Annual Research Achievements |
計数時系列に対し, INGARCHモデルの条件付き分散に自己回帰構造を入れたモデルを考え, 平均と分散を別々にモデリングすることを試みた. 定常性の下で, 未知パラメータの一致性と漸近正規性を証明した. 1つのモデルに2つの自己回帰構造が入っているため定常性の証明に時間を要したが, 証明の糸口を見つけることができた. また, 本課題に取り組んでいる際, 上述の設定に興味深い応用例が含まれていることを発見し, それについても論文にまとめる予定である. その他の実績として, 4件の論文が受理された. 簡潔に概要を説明する. 時系列分散分析の固定効果及びランダム効果の存在の検定についての論文 Goto et al. (TEST, 2022), Goto et al. (Ann. Inst. Stat. Math., 2022) では, 提案手法の基本的な性質を数学的に証明した. 計数時系列に対する変化点検知に関する論文 Goto (Research Papers in Statistical Inference for Time Series and Related Models, 2022+)では, M-推定量を用いて推定された未知パラメータを基にして, 3種類の変化点検出手法の性質を明らかにした. 分布を特徴づける新しいスペクトルに対する推定及び検定問題を取り扱った論文Goto et al. (Ann. Statist., 2022)では, 推定量の漸近分布を導出し, 同時信頼区間, 時間可逆性の検定, 裾対称性の検定を提案した. 応用例として, アメリカの株価指数S&P500は時間可逆性を持たないことを明らかにした.
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