2021 Fiscal Year Research-status Report
Machine learning-based noise filtering for rapid scan STEM image and its application to in-situ 3D dislocation observation
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21K20491
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
井原 史朗 九州大学, 先導物質化学研究所, 助教 (60909745)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | 転位 / STEM / 機械学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
走査透過電子顕微鏡(STEM)は従来のTEMに比べて試料厚さの許容範囲が2倍以上あることから,金属の変形その場観察において表面の影響を極力減らした上で観察できることが期待される.一方,STEMは電子線を試料に対して走査するという性質上,その場観察で要求されるような高速撮像においてTEMでは発生しないノイズや像ひずみが発生し,このことがSTEMをその場観察に用いる際の障壁となっている.STEMの高速撮像時に発生するノイズは,一般的な学習を行わないノイズフィルタでは克服困難であり,十分な信号を有する低速撮像した像を教師データとした機械学習によってノイズフィルタを作成し,ノイズの低減および信号の回復を図る必要がある.本研究では,転位のSTEM像を対象とし,機械学習を最適化するために,まず高速撮像に伴う像ひずみを解消するアルゴリズムを開発した.低速で撮影した像と相互相関を取ることで視野のずれを修正し,適切な像のひずみ量を求め,各画像に対してこのひずみを与えることで像ひずみの解消に成功した.その後,これらのひずみ補正した画像を訓練データとした機械学習を行うことにより,高速撮像したSTEM像の機械学習ノイズフィルタを作成した.これにより,従来のノイズフィルタでは達成困難であった高速撮像に伴うSTEM特有のノイズの除去に成功し,また,転位信号の回復も可能であることが示された.このようなことから,その場観察に適用し得る撮像速度でSTEMを運用することが可能になったと言える.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画していた通りの機械学習用の前処理プログラムは完成し,機械学習によるノイズフィルタ開発に成功している.本研究成果は論文化して投稿している(Sci. Rep., under review).変形その場観察に関しては,狙った部分を変形させるような試料づくりを確立させるなど,今後の計画の遂行に関して重要な知見を得ている.
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通り,SUS316L単結晶を用いてSTEMによる変形その場観察を行う.この時に同時に機械学習用の画像を取得し,ノイズフィルタをつくることができる状況にする.変形その場観察時に取得した一連の画像に対して本ノイズフィルタを適用することで,高速撮像に伴う信号の低下を補い,変形中に発展する転位組織を詳細に解析していく.
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Research Products
(5 results)