2021 Fiscal Year Research-status Report
生体試料の分子結合を網羅計測する超解像ラマン・赤外分光技術の創出
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21K20503
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
加藤 遼 徳島大学, ポストLEDフォトニクス研究所, 特任研究員 (90910513)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | ラマン分光法 / 赤外吸収分光法 / TERS / AFM-IR |
Outline of Annual Research Achievements |
生命機能は生体分子の局所的な化学構造変化により発現する。その発現機構を理解するには、生体試料の化学構造を分子レベルでかつ、その場計測する必要がある。これまでに、X線結晶構造解析などにより、生体分子の基本構造は明らかになっているが、生命機能を発現する前後及び維持する間の段階的な分子構造の変化は明らかになっていない。超解像ラマン分光法と超解像赤外分光法は分子レベルで分子結合を計測できるが、分子内の全ての結合情報を把握するためには、その両方の分光法で得られる結合情報を同時に分析する必要がある。そこで本研究は、超解像ラマン分光法と超解像赤外分光法を両立する新奇な超解像ハイブリッド分光法を創出する。生体試料の多様な分子結合を一分子レベルかつ網羅的に計測することで、生命機能の発現に支配的な化学構造変化を明らかにすることを目的とした。本研究では、赤外のナノ局在光と散乱光検出を必要とせずに、赤外活性の分子結合の測定が可能である「AFM-IR」を利用することで、ラマン測定と赤外分光測定の両立を試みる。当該年度は、赤外光の入射系をプローブ顕微鏡の右上部に増設することを見据えて、超解像ラマン顕微鏡を新たに構築した。実験的にも、ナノ局在光で励起した有機分子からのラマン散乱信号の取得に成功している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通り、赤外光の入射系をプローブ顕微鏡の右上部に増設することを見据えて、超解像ラマン顕微鏡を新たに構築し、ナノ局在光で励起した有機分子からのラマン散乱信号の取得に成功している。また、現在ペプチド分子のラマン分光測定も行なっており、構成するアミノ酸分子も判別可能な優位な結果も得られている。今後は、AFM-IRと共立できる顕微装置の開発に取り組む。
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Strategy for Future Research Activity |
顕微上部より赤外光を照射する機構を備える。赤外光源には、高輝度かつ偏光特性等も制御しやすい量子カスケードレーザーを利用する。金基板表面のベンゼン自己組織化膜の赤外吸収スペクトルを測定可能なプラズモンの共鳴条件を実験的・計算的アプローチで最適化する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスにより、ラマン分光測定に必要な高感度CCDカメラの納期が大幅に遅れが生じたため、次年度の夏に納品可能な製品に計上する予定である。
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Research Products
(1 results)