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2021 Fiscal Year Research-status Report

タングステン酸化物クラスター配位子を用いた金属硫化物クラスターの精密合成法の開発

Research Project

Project/Area Number 21K20552
Research InstitutionThe University of Tokyo

Principal Investigator

米里 健太郎  東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 特任助教 (20912348)

Project Period (FY) 2021-08-30 – 2023-03-31
Keywords無機合成 / 金属硫化物クラスター / ポリオキソメタレート
Outline of Annual Research Achievements

数個から十数個の金属原子が、硫黄原子を介して集合した金属硫化物クラスター構造は、その特異な物理化学特性や触媒特性から広く化学分野で重要な分子性材料であり、その分子構造を自在にデザインできる合成手法の開発が望まれる。
タングステン酸化物クラスターは、多座酸素配位子として機能し、種類や数、配列を制御して種々の異種金属原子を導入可能な分子状の鋳型として機能する。そこで本研究では、タングステン酸化物クラスターを配位子として着眼した、新たな金属硫化物クラスターの合成法の開発を目的とする。このような分子状タングステン酸化物を基盤とした金属硫化物クラスターの精密合成法の開発は、その分子構造や電子状態と、機能や特性の相関を明らかにすると同時に、分子状タングステン酸化物構造の有する酸化還元特性や酸塩基特性によって、金属硫化物クラスター単独では実現し得ない新たな機能を創出する可能性を秘める。
これまでに、タングステン酸化物クラスターの酸素原子を硫黄原子に置換することで、新しい多座硫黄配位子の開発を検討した。これまでに、種々のタングステン酸化物クラスターと硫黄化剤の反応を検討し、質量分析法により酸素原子が一部硫黄原子に置き換わることを推定した。今後より詳細な構造解析を検討する。将来的には、硫黄置換されたタングステン酸化物クラスターの物理化学特性の解明や、異種金属原子との反応によって新規多元金属硫化物構造の創出に適用可能になることが期待される。
また、タングステン酸化物クラスター上に予め目的の金属種を導入した後に、金属原子間の酸素原子を硫黄原子を置き換えることで金属硫化物クラスターの精密合成を実現する手法を考案し、まずタングステン酸化物クラスターに種々の金属イオンの導入を検討した。特に環状タングステン酸化物クラスター内部に20個前後の巨大な異種金属酸化物クラスターを創出可能であることを見出した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

(1)鋳型となるタングステン硫化物クラスター構造の創出においては、タングステン酸化物クラスターと硫黄化剤の反応によってタングステン酸化物クラスター上の酸素原子を一部硫黄原子に置換することに成功している。今後は反応条件の最適化、構造決定が主な課題である。
(2)予め精密合成した金属酸化物クラスターの酸素原子を、硫黄化剤との反応によって硫黄原子に置換する金属硫化物クラスターの合成手法の開発においては、これまでに多数の金属原子を安定に保持することが可能な環状タングステン酸化物クラスターを分子鋳型として採用し、その内部に種々の金属原子を環状構造内部に導入することに成功した。予備的また副次的な知見として、本手法は多元金属酸化物の合成に展開可能であることを見出した。
上記の研究進捗状況から、本申請課題は概ね順調に進展していると判断した。

Strategy for Future Research Activity

まず、(1)鋳型となるタングステン硫化物クラスター構造の創出においては、タングステン酸化物クラスター上の酸素原子を、その数・位置を制御して硫黄原子に置換する手法を質量分析法や核磁気共鳴法を用いて最適化し、さらに単結晶X線構造解析による硫黄置換型分子状タングステン酸化物クラスターの分子構造の決定を行う。本手法では、空気中や溶媒に残留している水による加水分解反応や、酸素による酸化反応によって反応の制御が困難であることを推定しており、今後簡易グローブボックス装置の導入によって雰囲気中の水や酸素を除去した条件を検討する予定である。また、単結晶X線構造解析が困難である場合には、広域X線吸収微細構造法による分子構造の考察や量子化学計算に基づいた推定を行う。
また、(2)金属酸化物クラスターの酸素原子を硫黄原子に置換する手法の開発においては、これまでに得られたタングステン酸化物クラスターを鋳型として用いた金属酸化物クラスターと硫黄化剤の反応を検討し、導入金属原子間を硫黄原子で置換する手法の創出を検討する。また、環状タングステン酸化物クラスターを分子鋳型に用いた、多元金属酸化物クラスターの構造決定や、導入する金属原子の組み合わせによる分子構造と機能の違いを今後詳細に解明する予定である。

Causes of Carryover

現時点で予定していた簡易グローブボックスの導入が未完了であり、2022年度交付額と併せて簡易グローブボックスの導入をはじめとする物品費、また放射光設備利用や学会参加に関連する旅費として充てる予定である。

URL: 

Published: 2022-12-28  

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