2021 Fiscal Year Research-status Report
直接分化転換法におけるヒト特異的リプログラミングバリア機構の解明
Project/Area Number |
21K20639
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
松田 花菜江 九州大学, 医学研究院, 特任助教 (90906348)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | ダイレクトリプログラミング / バリア機構 / 神経細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者はこれまでに、ヒト体細胞へと転写因子を強制発現させることにより、肝細胞及び神経細胞へのダイレクトリプログラミングに成功している。マウス細胞を用いた肝細胞へのダイレクトリプログラミングは、FoxaとHNF4aの2因子の強制発現により肝細胞へのリプログラミングが起きるのに対し、ヒト細胞を用いた場合はFOXA, HNF1A, HNF6の3つの因子が必要であることがわかった。また、神経細胞へのリプログラミングも同様に、マウスのミクログリアは、たった一つの転写因子であるNeuroD1をミクログリアへと強制発現させることで神経細胞へとリプログラミング可能であることに対して、ヒト細胞を用いた場合はNeuroD1だけではリプログラミングが起こらず、複数個の転写因子が必要であることが明らかとなった。これらの事実から、申請者はヒト細胞には、マウス細胞とは異なり、リプログラミングを阻むバリア機構が存在することを見出した。そこで本研究では、ヒトの19,000遺伝子を欠損させることが可能なCRISPR libraryを用いて、ヒト細胞特異的バリア因子を同定し、ヒト特異的なリプログラミングバリア機構の解明に挑む。本研究が成功した暁には、ヒト細胞における神経細胞及び肝細胞への飛躍的かつ高効率なリプログラミングが実現可能となり、様々な疾患、損傷に対する臨床応用実現へと大きく貢献することが可能となることが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒト細胞を使った神経細胞へのリプログラミング条件を固定することに専念してたため、当初予定していたCRISPR libraryを用いたスクリーニングには着手できなかったが、ヒト細胞公共データを用いたバリア候補因子を複数同定した。現在は、CRISPR libraryの準備を進めつつ、同定した候補因子を用いた解析を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
同定したバリア候補因子に関する解析を進めると同時に、CRISPR libraryを用いたスクリーニング実験も継続し、同時に進行する。これにより、本研究の仮説を裏付ける可能性の高い候補因子のさらなる選定を目指す。最終的に選定した候補因子を、過剰発現・発現減弱させることによる、機能的バリア因子の同定を行う。
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Causes of Carryover |
コロナ禍により試薬が予定通り届かなかったため。
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