2022 Fiscal Year Annual Research Report
神経磁場を直接捉え機能的結合を計測可能とする低磁場fMRIへの挑戦
Project/Area Number |
21K20689
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
上田 博之 京都大学, 工学研究科, 助教 (20909808)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | 機能的MRI / スピンロックシーケンス / 磁場検出 / 位相画像 / 機能的結合 |
Outline of Annual Research Achievements |
磁気共鳴現象により、神経磁場をMR画像のコントラストに反映するスピンロックシーケンスを用いて機能的結合の計測可能性を、低磁場MRIを用いて検討した。その結果、主に5つの成果を得られた。1つ目はヘルムホルツコイルを用いた低磁場MRIにおける検出可能な磁場の調査であり、従来、0.3-T MRIで2.34 nTまでしか検出できなかったが、ヘルムホルツコイルを用いて計測対象のファントムに均一な磁場を印加し、かつ大径のコイルを用いて金属アーチファクトの影響を抑制して評価した結果、1.50 nTの検出に成功した。2つ目はDenoising Convolutional Neural Network (DnCNN) を用いて、Stimulus-induced rotary saturation (SIRS) シーケンスのノイズ低減を上記のファントム撮像結果に適用し有効性の検討を行った。3つ目にMR位相画像を用いて、神経磁場の検出可能性について検討を行い、神経磁場の強度に依存せず位相のみを計測できる可能性を示した。4つ目に、MR画像の信号源であるプロトン磁化のスピンロックパルスにおける挙動に関して、我々が提案した解析解に新たに特殊解を導入し、近似を用いない数値計算の結果と比較して、誤差を改善することが出来た。最後に、ヒトを対象としたチェッカーボードを用いた視覚定常誘発反応の実験装置を構築した。 これらの検討を通じて、シミュレーションの改善やMR位相画像を用いたヒトの神経磁場の位相情報の取得可能性を示すことができ、機能的結合の計測可能性がより現実的になった。しかし、低磁場MRIにおいて感度の不足が課題であり、解決策として機械学習によるノイズ低減を検討した。信号対雑音比が低い場合においてDnCNNは有効性が低く、別のネットワークや損失関数を用いる必要があることが分かった。
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