2021 Fiscal Year Research-status Report
プラズマ活性乳酸リンゲル液を用いた口腔癌に対する新規治療法の開発
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21K21008
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
佐藤 康太郎 名古屋大学, 医学系研究科, 助教 (00908808)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | プラズマ / 鉄 / コラーゲンクロスリンク / 口腔癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
PALを投与することで,口腔癌細胞では線維芽細胞や上皮細胞などの正常細胞と比較して低濃度で殺細胞効果を示し,癌細胞特異的に効果を発揮することを確認した.またウエスタンブロット法ではフェリチン,フェロポーチンの低下が見られ,フローサイトメトリーでは脂質過酸化,電子顕微鏡ではミトコンドリアの形態変化がみられた.以上より,細胞死として主にフェロトーシスが起こっていることを明らかにした.Migrationおよびinvasion assayでは遊走および浸潤能の減弱がみられ,上皮間葉転換と関わりがあるLysyl oxidase (LOX)の有意な発現低下がみられた.口腔癌モデルマウスを使用したIn vivoの実験でもPALを投与することで舌上皮におけるLOXの発現低下がみられ,さらには発癌および頸部リンパ節転移が抑制され,生存率は有意に延長した.組織学的に検討したところ,コラーゲンの形成抑制が観察された.血液検査では特に異常値は認めず、その他臓器に対する副作用は現時点では見られなかった.以上より,PALは口腔癌細胞に対してフェロトーシスを引き起こし,さらにコラーゲンおよびコラーゲンクロスリンクの形成を抑制することで転移を抑制させる可能性が示唆された.PALが口腔癌に対して副作用が少なく,効果的な治療方法であることが客観的に示されつつあり、今後の臨床研究への橋渡しとして重要な結果が得られたと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
In vitroおよびvivoの実験はそれぞれ順調に進んでおり,今後は検体を利用したコラーゲンクロスリンク解析やIn vivo imagingを行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は本研究で得られた結果の客観性を高めるために(1)In vivo 発光イメージングを使用したPALの転移抑制効果,(2)PALによるコラーゲンクロスリンク形成に関わる因子への影響を検討する予定である.具体的には,(1)GFPとLuciferaseの両機能を有するGpNLucをtransfectionした舌癌細胞をマウスの舌に移植し,無治療群,乳酸リンゲル液投与群およびPAL投与群の3郡に分け,リンパ節やその他臓器への転移をイメージングおよび組織学的に評価し,(2)マウスの舌に発生および生着した腫瘍のコラーゲンクロスリンクを解析することでコラーゲンに対する影響を評価する.
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Causes of Carryover |
COVID-19の影響で学会に参加できなかったこと、論文作成まで及ばなかったことが原因と考えられる。今後は得られた検体を用いた実験を行う予定であり、時間的な制約がある場合は受託などを利用してより早期に結果が得られるように工夫していく。
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