2022 Fiscal Year Annual Research Report
筋痛モデルラットによる咀嚼筋痛受容機構解明ならびに治療法開発の基盤形成
Project/Area Number |
21K21042
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
生田目 大介 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 助教 (10910218)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | 咬筋痛 / 線維筋痛症 / グリア細胞 / 炎症性サイトカイン / ミノサイクリン / レセルピン |
Outline of Annual Research Achievements |
咀嚼筋痛障害は,主症状として筋痛,運動痛,運動障害を示すことが知られているが,有用な治療法はいまだ確立されていない。咬筋痛が,三叉神経節における炎症性サイトカインであるTNF-αを介したニューロンと三叉神経節内に存在するグリア細胞との相互作用によって調節されることが報告されている。また,口腔顔面痛モデルラットに対し三叉神経節へグリア細胞機能抑制薬として知られるミノサイクリンを投与することで痛みの軽減を認めたことが報告されている。しかしながら,咀嚼筋痛の伝達メカニズム,およびミノサイクリン投与による鎮痛効果や作用経路については不明である。そこで,本研究は,咬筋痛モデルラットを用いて,歯科治療において遭遇することの多い咀嚼筋痛の伝達メカニズムおよびグリア細胞機能抑制による鎮痛効果や作用機序の解明を目的とした。 本研究では,第1に咬筋痛モデルラットを用いて機械刺激に対する逃避反射閾値測定による行動観察実験を行った。咬筋に下降性疼痛抑制系を機能低下させるレセルピンの皮下注射を加えたモデルを用い,5週齢 SD系雄性ラットの咬筋相当部に対し,デジタルフォンフライを用いて機械刺激を加え,咬筋痛による逃避反射閾値の変化を経時的に測定した。第2に三叉神経節に発現するグリア細胞より遊離したサイトカインの免疫組織学的解析を行った。具体的には灌流後の後,三叉神経節を摘出,組織切片を作製し,グリア細胞から遊離する炎症性サイトカインのCXCL2に着目し,免疫組織学的染色を行った。 逃避反射閾値の変化は,レセルピン注入群はナイーブ群と比較し注入後3日目から10日目まで有意な低下を認めた。また,三叉神経節におけるCXCL2陽性細胞の全細胞蛍光の変化では,レセルピン注入群はナイーブ群と比較し有意な増加を認めた。以上より,レセルピン注入による機械痛覚過敏の発症およびグリア細胞の活性化の増大の可能性が示された。
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