2021 Fiscal Year Research-status Report
浮腫を有する高齢入院患者における新たな皮膚評価方法を用いた清拭プログラムの開発
Project/Area Number |
21K21157
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
宍戸 穂 北海道大学, 保健科学研究院, 助教 (50911210)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | スキンケア / 清潔ケア / 浮腫 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、浮腫を有する高齢入院患者の皮膚状態の評価方法を明らかにし、清拭プログラムの開発を行うことである。清拭は、入浴やシャワー浴ができない患者の皮膚を温かいタオルで拭き取り、清潔を保つ重要なケアである一方で、不適切な方法での実施は皮膚状態の悪化を助長するリスクもある。特に、浮腫を有する患者への清拭は皮膚状態への配慮が必要である。しかし、そうした対象者の皮膚について、機器を用いた方法による評価は困難であり、介入による効果や適切な清拭方法に関するエビデンスは乏しく、本研究を計画した。 2021年度の本研究の目的および計画は、65歳以上の心臓疾患患者を対象とし、浮腫を有する患者の皮膚状態の評価方法について検証する予定であった。しかし、COVID-19の影響により入院患者を対象とした研究の遂行が困難な状況であった。そのため、文献検討により国内外における定量的な浮腫状態の評価方法の実態とその妥当性を整理することに加え、健康成人を対象としたプレテストによりその実現可能性を検討した。その結果、エコーを用いた対象者の浮腫状態の評価は対象者の姿勢に大きく影響を受けることで再現性が乏しく、機器が熱を帯びることで皮膚状態の評価の交絡因子となり得ること、表皮における皮膚状態の評価の限界が確認された。この結果を基に皮膚状態評価のゴールドスタンダードである角質水分量および経表皮水分蒸散量の計測に加え、他の指標による評価のプロトコルとその妥当性を健康成人を対象に検討する必要があると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
COVID-19の感染拡大により入院患者を対象とした病院での調査が実施困難な状況であるため。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の結果を基に、健康成人を対象とし、浮腫を有する患者を想定した皮膚状態の測定プロトコルの妥当性を検証後、心臓疾患患者を対象とした介入研究を実施し、研究の目的が果たせるよう推進する。
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Causes of Carryover |
2021年度は病院でのフィールドデータを収集予定であったが、COVID-19の影響により実施困難となったため、人件費や消耗品の購入が生じなかった。また、学会はオンラインでの参加となったため旅費が生じなかった。物品費としてポータブルエコーを購入予定であったが、文献検討およびプレテストの結果、本プロジェクトでの購入は望ましくないと判断し、次年度使用額が生じた。 2022年度予算と合わせ、皮膚状態および皮膚血流量を測定するための機器の購入、データ収集実施に関する消耗品の購入と人件費、成果を報告するために学会への旅費および論文投稿費として使用する予定である。
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