2021 Fiscal Year Research-status Report
An Empirical Study on the Constructing Process of Environmental Governance: The Case of Drug Alternative Cultivation in South America
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21KK0020
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
村上 勇介 京都大学, 東南アジア地域研究研究所, 教授 (70290921)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 達也 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, 地域研究センターラテンアメリカ研究グループ, 研究グループ長 (00450510)
藤澤 奈都穂 京都大学, 東南アジア地域研究研究所, 特別研究員(CPD) (00838443)
石川 登 京都大学, 東南アジア地域研究研究所, 教授 (50273503)
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Project Period (FY) |
2021-10-07 – 2025-03-31
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Keywords | 環境保全ガバナンス / 麻薬代替作物化 / コカ葉 / ペルー / ラテンアメリカ |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度は、コロナ問題により現地調査の実施を見送らざるを得なかった。しかし、11月、1月、3月に3回研究会を実施し、そのうちの最後の回は海外研究協力者の参加を得た。最初の研究会では、各自の現状認識を披露して共有するとともに、分析枠組みについての検討を行った。2回目の研究会では、村上より中南米の麻薬問題について歴史的な経緯も含め概略を説明するととにも、研究対象国であるペルーの位置づけ、そしてその中でのサンマルティン州の状況についてマクロの視点から分析した。ラテンアメリカの麻薬問題は1970年代以降の話であること、ペルーは伝統的なコカ葉栽培が行われてきたことを麻薬マフィアに悪用されたこと、サンマルティン州は20世紀末から今世紀の初めにかけてペルーで最大のコカ葉違法栽培地域となったが、その後代替作物化が進んだこと、などを説明した。3回目の研究会では、海外研究協力者より、気候変動課題と熱帯森林保全について、とりわけその保全ガバナンスの観点からグローバル、ラテンアメリカ地域、ペルー、サンマルティン州、同州の地域社会の多層別に現状と課題についての分析を披露し、ペルーでのガバナンス構築が弱く、国-州-地域社会に加え、政-財-社会の間の祖語や対立が目立ち、問題を複雑にしている現状を確認した。また、他の海外共同研究者の報告を踏まえつつ分析枠組みの検討を行って共有化を図るとともに、今後の研究計画の進め方ならびに協力体制を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究計画の軸の一つである現地調査の実施は、コロナ問題により見送らざるを得なかったものの、海外研究協力者の協力も得つつ、研究推進体制の確立と現状分析、分析枠組みの検討といった研究の基本的な点について成果を挙げることができた。現地調査によってしか得られないデータや情報はその実施が期待できる2年目以降の活動で取り入れて行くこととになるが、その点を除けは、海外研究協力者からの情報提供や意見などを踏まえ、現状分析や分析枠組みの検証を進めることができた。また、同様に海外研究協力者の助力を得ながら、入手可能な基礎データの集積も進み、その共有のためのデータベース化にむけた作業の準備も行うことができた。こうして、2年目以降の研究活動の本格的な展開にむけて着実な道筋をつけることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
海外研究協力者との協働体制を積極的に活用しつつ、また2年目以降に実施することができると期待される現地調査の成果を踏まえつつ、研究課題についての分析ならびにその分析枠組みの検証を本格的に実施する。2年目は、各メンバーがそれぞれの担当課題について、海外研究協力者と密接に協働しながら調査分析を行うことが主たる活動の段階である。現地調査を実施して分析を進めるとともに、基礎的なデータについては共有化できるよう、データの蓄積とそのデータベース化を図る。データべー化については、代表者の勤務先が開発した基礎的なプラットフォームがあるので、それを活用する。各自の調査研究と分析の成果は3-4回の予定で実施する研究会でメンバーの間で共有し、それを踏まえつつ、分析枠組みの検証を行う。また、海外研究協力者が参加する機会を設け、分析の成果と分析枠組みの検討をする。
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Causes of Carryover |
コロナ問題により現地調査の実施を見送ったことから、現地調査関連の旅費ならびにそれと関連した謝金の支出ができなかったことが最大の原因である。2年度目からは現地調査が実現する可能性か高く、その実施に期待が持てることから、初年度に実施できなかった分について取り戻すことも含めて積極的に実施してゆくことを考えている。とりわけ、ペルーの地方の調査であり、現地調査を実施するとなれば、それなりの費用がかかることになる。また、経済社会統計など基礎的なデータが手元には十分にない。現地での存在の有無と入手可能性を海外研究協力者ととに探り、その可能性に応じて積極的に収集する。そして、基礎的なデータを共有するための作業を開始する。専門研究書ならびに統計やマスメディアなどの現地の資料は、日本で欠如しているものを中心に収集するようにする。
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Research Products
(5 results)