2022 Fiscal Year Research-status Report
内戦における反乱軍経済のメカニズムと政治社会的影響-データセットの構築と事例研究
Project/Area Number |
21KK0021
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
窪田 悠一 日本大学, 法学部, 准教授 (40710075)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大林 一広 一橋大学, 大学院法学研究科, 教授 (30598149)
冨永 靖敬 法政大学, 経済学部, 准教授 (40779188)
田中 有佳子 (坂部有佳子) 一橋大学, 森有礼高等教育国際流動化機構, 講師 (50732715)
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Project Period (FY) |
2021-10-07 – 2026-03-31
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Keywords | 内戦 / 反乱軍 / 経済政策 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、国内武力紛争(内戦)下の反政府武装勢力(反乱軍)による市民経済の管理・統制のメカニズムとその影響を理論的、実証的に明らかにすることにある。ここでは、内戦のプロセスに関する先駆的な研究が行われている欧米の学界でも看過されてきた反乱軍経済やその影響について、定量的な分析を可能にするデータセットの構築と現地調査を含む事例研究を通して考察する。内戦下の反乱軍は、なぜ、またどのように市民経済に関与するのか、またそうした経済政策や市民経済との関係は紛争の動態や市民の意識や政治社会行動にいかなる影響を及ぼすのかという問いに多角的にアプローチすることで、反乱軍経済だけでなくその領域統治メカニズムの解明に貢献することを目指している。
当該年度には、上記の目的のための研究活動を行った。第一に、データセットに関するコードブックを完成させ、コーディング作業を進めた。具体的には、1945年以降の世界各国における内戦事例と反乱軍組織を対象に、彼らの経済政策の経年変化を捉えるデータセットを構築することを目的に、UCDP(Uppsala Conflict Data Program)紛争データに収録されている反乱軍を抽出し、それらに関する情報収集とコーディングを進めた。第二に、本研究の事例研究の対象であるコートジボワールにおけるフィールド調査の設計に資する情報収集とその計画書を作成した。その過程では、海外の共同研究者との連絡・調整を緊密に行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた、コードブック作成及びコーディング作業と聴き取り調査の調整が順調に進んでいるため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究を推進するために以下の2点の活動を予定している。第一に、データセットの作成にかかるコーディング作業を進め、2023年度末までに作業を終了する。その過程では、海外の国際共同研究組織に滞在し、本作業の方向性と進捗に関する打ち合わせを実施するとともに、データセットの紹介を兼ねた報告を複数回行い、専門家から意見の聴取を行う。また第二に、反乱軍の経済政策や市民経済との関係が内戦の動態や市民の意識や政治社会行動に及ぼす影響を明らかにするため、コートジボワールにおけるフォーカスグループ・インタビューを実施する。同時に現地でのフィールド調査に向けた準備をを行う。ここでも当該地域の共同研究者の協力のもと、調査チームの管理・運営や実査を進める。
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Causes of Carryover |
コードブック作成及び聴き取り調査の準備作業が、研究代表者・分担者が所属する大学の学術雑誌等データベース、もしくはインターネット上の検索エンジンから行われ、これにかかる経費が発生しなかったため。また研究代表者・分担者間の打ち合わせもオンラインで行われ、これに関する旅費も不必要であった。
次年度には、コーディング作業やフィールド調査にかかる文献調査や資料の取り寄せ・購入のためにこれらの経費を使用する。またコーディング作業にかかる研究アシスタントの雇用を行う。さらに、当該経費は海外共同研究者(ウプサラ大学及びジーザス大学)や調査地であるコートジボワールの訪問のための海外旅費に充てられる。
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