2022 Fiscal Year Research-status Report
Sustained development and strengthening of the international advanced research cooperation network for uranium-based compounds of strongly correlated electron systems
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21KK0046
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
柳澤 達也 北海道大学, 理学研究院, 教授 (10456353)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
網塚 浩 北海道大学, 理学研究院, 教授 (40212576)
齋藤 開 東京大学, 物性研究所, 助教 (90825291)
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Project Period (FY) |
2021-10-07 – 2025-03-31
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Keywords | ウラン化合物 / 超音波物性 / 多極子 / 強磁場 / 極低温 / アシンメトリ量子 |
Outline of Annual Research Achievements |
大学院生の日比野は、令和4年8月から令和5年1月までドレスデンに滞在し、Y1-xPrxIr2Zn20 (x = 0.08, 0.37, 1.0)の横波(C11-C12)/2, C44モードを測定した。いずれのPr濃度も (C11-C12)/2にのみ約 20 K以下で結晶場効果によって説明できるソフト化を示すことが判った。Y希釈系(x = 0.08, 0.37)では、1 K以下で冪乗則に従う弾性定数の温度依存性を発見。これは、Pr濃度の変化に伴って四極子近藤効果の「単サイト」模型から「格子」模型へのクロスオーバが生じていることを示唆する。 研究代表者の柳澤は、米国から移送した重い電子系超伝導化合物(U,Th)Be13とUTe2単結晶試料の超音波測定をドレスデン強磁場研究所の日比野と協力して行った。UTe2はパルス強磁場と3He冷凍機を組み合わせ、0.5 K, 69 Tまでの磁場・温度領域で弾性定数C55の測定に成功。磁場回転により40 T強の強磁場下におけるリエントラント超伝導相の弾性応答を初めて捉えることに成功した。 分担者の網塚は、局所的反転対称性の破れた強相関金属化合物UPt2Si2について反強磁性秩序と電荷密度波の共存状態を共鳴X線回折実験及び中性子散乱実験を用いて調べ、電荷密度波が反強磁性磁気構造に及ぼす影響を半定量的に明らかにするとともに、常磁性相においてウランの5f電子軌道に電荷密度波波数の変調が誘起されていることを見いだした。 分担者の齋藤はチェコ共和国カレル大学に滞在し、磁気トロイダル秩序物質UNi4BのUサイトのTh置換を試み、少なくともTh30%まで置換可能であることを確認した。磁気測定から、磁気トロイダル秩序はTh10%程度の置換によって2段の転移に変化していると見られること、置換量を増やすと秩序が抑制されていくことを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨(令和3)年度に米国から移送したウラン化合物のドイツにおける超音波測定に全て成功した。特に、UTe2のリエントラント超伝導相に関しては学会でも注目を集めており、その発見者であるワシントン大学セントルイス校のS. Ran教授から提供を受けた単結晶試料を米国からドイツに移送し、ドレスデン強磁場研究所で精密な強磁場下超音波測定に成功したことは意義深い。一方、日本国内では東北大金属材料研究所・附属量子エネルギー材料科学国際研究センター(大洗)の研究協力者から提供された純良単結晶試料を用いて、主に低磁場領域の超音波測定の詳細なデータを蓄積しており、日本物理学会やトピカルミーティングで本系が示す格子不安定性とその解釈について速報できたことは当初の想定を超える成果といえる。 若手研究者としてドレスデン強磁場研究所に派遣した日比野は、同研究所のS. Zherlitsyn氏と協力して希釈冷凍機を立ち上げ、20 mKまでの極低温領域での弾性定数測定を達成できるようにした。低温技術と超音波測定技術を修得し、自身の博士論文研究のテーマである四極子近藤効果を実証するための典型物質 PrIr2Zn20とそのY希釈系の超音波実験を遂行した。海外の若手サマースクールや国際会議にも精力的に参加し、将来の国際共同研究の人脈形成を行っている。 分担者の齋藤は昨年実施できなかったUNi4Bとその関連物質の試料合成をチェコ共和国カレル大学のグループと共同で行った。基礎物性測定のデータは順調に蓄積されており、元素置換効果による新しい知見も得られている。分担者の網塚は引き続き量子ビーム実験によってミクロな観点から反転対称無き強相関電子系の奇パリティ磁気秩序の新奇物性を追求し重要な実験結果が得られている。 よって当初の予定通り、概ね順調に国際共同研究を継続しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度も引き続きドイツ・ドレスデン強磁場研究所とチェコ共和国・カレル大学を訪問し、既に移送済みのウラン化合物について超音波実験と量子ビーム実験の国際共同研究を行う。 東北大金属材料研究所・附属強磁場超伝導材料研究センター(仙台)の25T超伝導磁石は、昨年度トラブルにより稼働を休止しているため、復帰次第、マシンタイムを申請して二軸回転プローブを用いた極低温・強磁場におけるUTe2、 UNi4Bの超音波測定を行う。また、分担者の網塚が北海道大学で育成したUPt2Si2は、極低温強磁場に未解明の磁場誘起相が存在することが先行研究で示されている。既に低磁場領域における予備実験を遂行しているため、今後はその温度・磁場領域を更に拡げ、磁場誘起相における多極子自由度の寄与を調べる。 今年度も引き続きコロナ禍の影響が残ったため、海外の共同研究者との打ち合わせは主にZoomなどによるオンラインで行った。コロナ渦が落ち着きを見せている今後は、若手研究者がface to faceで海外研究者と交流する機会をさらに増やし、持続可能なグローバルなネットワークハブ人材として育成するべく、分担者を含めた大学院生などの若手を国際会議やトピカルミーティングに派遣し、対面での草の根の国際ネットワーク形成を目指す。
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Causes of Carryover |
令和4年度前半は新型コロナウイルスの余波がまだ収束しておらず、ウクライナ戦争継続による世界情勢不安により、海外渡航への精神的障壁があったため、学生の欧州への渡航期間を短く設定した。代替案として海外共同研究者との議論はオンラインツールによって活発に行われたため、充分な議論の時間をとることができたと考える。国際情勢が落ち着き次第、今後の研究の推進方策に基づいて対面での国際交流を再開する予定である。 一方、本研究では貴重かつ高価なヘリウム3を冷媒として用いる冷凍機を稼働するために、恒常的にヘリウムリークディテクタを用いる。これまではオープンファシリティとして北大に設置されている旧い装置を使用していたが、並走する別の研究プロジェクトでも使用頻度が増し、マシンタイムの奪い合いになることが予想されるため、科研費を合算して研究室専用のリークディテクタを整備し、新たに共用機器として登録することにした。そのための合算予算として次年度使用額を一部使用する予定である。
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Research Products
(42 results)
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[Presentation] 非クラマース化合物Y1-xPrxIr2Zn20及びLa1-xPrxTi2Al20における四極子近藤効果由来の弾性応答の検証2023
Author(s)
日比野瑠央, 柳澤達也, 三上義人, 日髙宏之, 網塚浩, Sergei Zherlitsyn, Joachim Wosnitza, 宮田敦彦, 山根悠, 川上裕大, 鬼丸孝博
Organizer
日本物理学会2023年春季大会 (online)
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[Presentation] 超音波測定によるUTe2の格子不安定性に関する研究 II2023
Author(s)
牛田啓太, 日比野瑠央, 柳澤達也, 日髙宏之, 網塚浩, 木俣基, 中村慎太郎, 淡路智, 青木大, Georg Knebel, Jacques Flouquet
Organizer
日本物理学会2023年春季大会 (online)
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[Presentation] 超音波測定によるUTe2の格子不安定性に関する研究2022
Author(s)
牛田啓太, 日比野瑠央, 柳澤達也, 日髙宏之, 網塚浩, 木俣基, 中村慎太郎, 淡路智, 青木大, Georg Knebel, Jacques Flouquet
Organizer
日本物理学会2022年秋季大会
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[Presentation] Change in the Ground State of Y1-xPrxIr2Zn20 due to a Quadrupolar Kondo Effect with Pr Concentration x2022
Author(s)
R. Hibino, T. Yanagisawa, Y. Mikami, H. Hidaka, H. Amitsuka, S. Zherlitsyn, J. Wosnitza,Y. Yamane, and T. Onimaru
Organizer
EMFL(EuropianMagneticField Laboratory) summer school 2022, Kerkrade, Nederlands
Int'l Joint Research
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[Presentation] 超音波測定によるUTe2の格子不安定性に関する研究2022
Author(s)
牛田啓太, 日比野瑠央, 柳澤達也, 日髙宏之, 網塚浩, 木俣基, 中村慎太郎, 淡路智, 青木大, Georg Knebel, Jacques Flouquet
Organizer
日本物理学会2022年秋季大会(東京工業大学 大岡山キャンパス)
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