2023 Fiscal Year Research-status Report
Analysis of diversity of rhizobial genome and the community structure in Philippines and Japan based on environmental gradients
Project/Area Number |
21KK0103
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
佐伯 雄一 宮崎大学, 農学部, 教授 (50295200)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
城 惣吉 島根大学, 学術研究院農生命科学系, 助教 (20721898)
山本 昭洋 宮崎大学, 農学部, 准教授 (30452915)
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Project Period (FY) |
2021-10-07 – 2026-03-31
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Keywords | 根粒菌 / ササゲ / リョクトウ / Bradyrhizobium属 / B. yuamingense |
Outline of Annual Research Achievements |
現在の気候変動の実態に鑑みて緯度などの違いによる地球規模の環境傾度に着目した土壌微生物生態を明らかにすることは、未来の日本農業や熱帯農業にとって大変重要な課題である。本研究では、日本と同じ島嶼国であり、且つ国土の経度がほぼ同じでありながら、緯度の違いにより熱帯に位置するフィリピンに着目し、熱帯性マメ科作物の根粒菌群集構造の解析を行なっている。2023年度は、フィリピンCentral Luzon State Univ.(CLSU) の圃場と島根大学・宮崎大学の圃場で栽培したVigna属マメ科作物の根粒菌群集構造の解析を行なった。 ササゲ、リョクトウをそれぞれの圃場で栽培し、着生した根粒からゲノムを抽出し、16S-23S rRNA gene ITS領域をターゲットとしたアンプリコンシークエンス解析を行なった。得られたデータからAmplicon Sequence Variant (ASV)と構築した系統樹から得られた種構成を解析した。その結果、感染根粒菌はBradyrhizobium属であり、宮崎・CLSUではB. yuamingenseが優占していた。島根ではB. elkaniiとBradyrhizobium sp.が優占していた。ASVを元にした群集構造の比較では、栽培地点による明確な差異が認められ、ITS配列レベルでは異なる菌株が土着化していることが示唆された。 日本国内でダイズを栽培している限り、B. yuamingenseは検出されないが、フィリピンでダイズを栽培するとB. yuamingenseがダイズ根粒菌として優占している。2023年度研究で着目すべき点は、宮崎においてVigna属を栽培した場合、感染根粒菌のほとんどがB. yuamingenseであり、南日本においてもB. yuamingenseが土着化していることを明らかにした点である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでにフィリピンと日本の圃場で、ダイズ、ササゲ、リョクトウの感染根粒菌群集構造の解析を実施し、地域に特徴的なAmplicon Sequence Variantおよび属種の同定を行ない、考察することができている。本研究における、ITS領域の多型を元にした解析では、ダイズ根粒菌はCLSUでその根粒菌群集構造が大きく変化するのに対して、Vigna属根粒菌では島根で群集構造の大きな変化が起きていることを見出した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、熱帯緑肥作物であるセスバニアやクロタラリアについて研究を進める。さらにマメ科作物に感染した根粒菌の解析に続き、土壌DNAを元にした土壌中の根粒菌群集構造の解析を進め、感染根粒菌群集構造との比較解析により、感染における親和性について解析を進める。
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Causes of Carryover |
フィリピンでの物品購入、特に機器においては発注から納品まで半年ほどかかる場合があり、年度内に計画通り支出することが困難であるため、次年度への繰越が必要となっている。
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Research Products
(8 results)