2021 Fiscal Year Research-status Report
Development of plant conservation genetics by discovering hidden linages in New Caledonia using population genomics analysis
Project/Area Number |
21KK0104
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
陶山 佳久 東北大学, 農学研究科, 教授 (60282315)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井鷺 裕司 京都大学, 農学研究科, 教授 (50325130)
高橋 大樹 東北大学, 農学研究科, JSPS特別研究員(PD) (50913216)
松尾 歩 東北大学, 農学研究科, 助教 (90868754)
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Project Period (FY) |
2021-10-07 – 2027-03-31
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Keywords | 分子系統解析 / MIG-seq法 / Acropogon属 |
Outline of Annual Research Achievements |
生物多様性ホットスポットとして知られるニューカレドニアにおいて、急速に失われつつある自然植生を構成する固有植物の1群であるAcropogon属の現地分布調査およびDNA分析用試料の採取を計画した。ただし、初年度は新型コロナウイルス感染症の影響を考慮して渡航の計画は立てず、海外共同研究者がすでに保有している乾燥標本等を利用し、予備データとしてのDNA分析およびデータ解析を実施した。具体的には、合計28種から採取された137サンプルの提供を受けたが、そのうち押し葉標本から採取された23種54サンプルについては保存状態が悪く、そのうち1種2サンプルのみからデータを取得することができた。一方、DNA分析用サンプルとしてシリカゲルによる乾燥が行われた27種89サンプルについては、最終的に19種および推定未記載種1種の47サンプルについて、分子系統解析用のMultiplexed ISSR Genotyping by sequencing(MIG-seq)法(Suyama & Matsuki, 2015)を用いたゲノムワイドDNA分析によってデータ取得を行うことができた。データ解析の結果、全体として既知の分類知見にほぼ合致した系統関係が得られたとともに、種が不明であった3サンプルについては種名が推定され、同定間違いについても2サンプルで判明した。そのほか、未記載種である可能性が高いと考えられる1サンプルも明らかとなった。以上のことから、これまで全く調べられていなかったAcropogon属の分子系統関係の基礎データが得られたといえる。なお、このデータ取得は日本側の若手研究者が担当し、試料提供側研究者も、新たに加わった若手研究者であったため、この分野の未来を担う若手研究者の養成という視点においても十分な成果が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
わずか数ヶ月の研究期間だったにも関わらず、海外共同研究者との協働がうまく進み、合計28種から採取された137サンプルもの試料提供を受けることができた。さらに、このDNAデータ解析についても迅速に進めることができ、基礎的なデータについてはすでに得ることができた。同時に、得られたデータに関して海外共同研究者との議論も進めることができ、初年度としては計画以上の成果だったといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルス感染症の状況次第ではあるが、できるだけ早く現地へ渡航し、現地分布調査およびDNA分析用試料の採取を実施したいと考えている。これにより、まずは現地の海外共同研究者との間で対面による情報交換と研究計画の推敲を行った上で、少なくとも2種の集団サンプリングを実施したいと考えている。万が一、新型コロナウイルス感染症の影響によって渡航できなかった場合には、海外共同研究者によるサンプリングを依頼して、基礎的な分子系統関係を明らかにする作業を進めたいと考えている。
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Causes of Carryover |
海外共同研究者から提供を受けたサンプルの多くの状態が悪く、研究分担者(京都大学)が担当予定であったデータ解析はごく一部のサンプルでしか行うことができなかった。そのため、本年度に当該分担者が執行を予定していた研究費の一部を次年度に繰り越すこととした。翌年度には、年度末までに現地調査を予定しており、現地調査により取得したサンプルと合わせて、本年度のデータ解析も実施する計画である。これら2年度分のデータ解析の実施により、適切に研究費を使用する計画である。
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Research Products
(1 results)