2023 Fiscal Year Research-status Report
侵略的外来種の侵略的性質獲得の原因解明と抑制に関する研究
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21KK0189
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
上原 浩一 千葉大学, 大学院国際学術研究院, 教授 (20221799)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梅木 清 千葉大学, 大学院園芸学研究院, 教授 (50376365)
加藤 顕 千葉大学, 大学院園芸学研究院, 准教授 (70543437)
タヴァレス・ヴァスケス ジエーゴ 東京大学, 大学院総合文化研究科, 特任講師 (60835320)
倉田 正観 東京大学, 大学院総合文化研究科, 特任研究員 (40899324)
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Project Period (FY) |
2021-10-07 – 2025-03-31
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Keywords | 侵略的外来種 / イタドリ / オオイタドリ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、国家や大陸を超えて蔓延し、生物多様性に深刻な悪影響を及ぼす侵略的外来種の侵略のメカニズムを解明する国際共同研究である。対象とするのは日本と近隣のアジア地域に自生し、19世紀以降欧米に人為的に導入され悪質な侵略的外来種として問題になっているイタドリ、オオイタドリである。これら原産地では他の植物に埋もれた、めだたない植物が、新たな地域に導入後、どのようにして強い侵略性を獲得し分布を拡大したか、イタドリをモデルとして侵略的外来種の侵略的性質の形成メカニズムを解明し、今後の侵略的外来種抑制のための基盤情報を得ることを目的としている。そのためイタドリの原産国である日本と、侵入地域である欧米において植物体と周囲の生物相や環境を比較解析することで侵略的外来植物の侵略的性質獲得の法則性を見いだし、その抑制法を検討する。 令和5年度は8月に2名で英国調査を行った。現地では共同研究機関CABI UK の連携研究者黒瀬大介研究員と合同で英国内のイタドリ、オオイタドリ、および雑種の自生地において調査、サンプリングを行った。9月末から10月に黒瀬研究員が来日し、千葉県、青森県、北海道、福岡県にて、国内在来虎杖の防除のための調査を行った。また、海外の侵略的イタドリ類との比較と、その起源を明らかにするため令和4年度より国内各地の調査、サンプリングを進めてきた。それらについて英国のサンプルも含めてフローサイトメトリーを用いた倍数性の解析とMIG-seqによる遺伝解析を行った。その結果、各地のイタドリの4倍体、6倍体、8倍体、オオイタドリの6倍体、8倍体、またそれらの雑種の分布が明らかになったほか、イタドリについては東日本と西日本の2つのタイプが存在することが明らかとなった。倍数性と遺伝解析の結果は日本植物分類学会で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
国内を中心としたイタドリの倍数性と遺伝的多様性についてはこれまで倍数体や雑種の形態的識別が困難であったため、従来のイタドリの遺伝解析の研究では罪数体個体が混在していたため明瞭な結果が得られなかった。今回サンプリングした個体の多くをフローサイトメトリーによる倍数性解析とMIG-seqによる遺伝結果の両方を行ったため、国内のイタドリ類の概要が明らかになり、海外進出した侵略的イタドリの起源もわかってきた。それに加え、国内虎杖に東日本方と西日本型の2系統が存在することがわかり、その遺伝的背景を認知した上で、その微細な形態的相違点となる形質もわかってきた。この知見をもとに欧米において調査サンプリングを継続し侵略的イタドリの実態とその抑制の方策を探っていきたい。イタドリ類に共生する真菌類については国内および英国調査時にサンプリングを行っており、今後解析を進める予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
国内調査はかなり進んでいるが、一部未調査地域があるため、それを進めて日本国内のイタドリ類の全容を明らかにする。海外調査は欧州、北米で行う予定であったが、南半球オセアニアにも侵略的イタドリ類が進出しており、それが欧米経由のものか、あるいは別な期限を持つのか明らかにするため調査を行いたいと考えている。
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Causes of Carryover |
R5年度は国内調査と英国の調査を行うことができた。しかし、その他の北米地域等の現地調査を行えなかったため次年度使用額が生じた。R6年度には北米等の現地調査を進めるとともに、海外連携研究者を招聘した国内調査、次世代シークエンサー解析(外注)等を予定している。
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Research Products
(1 results)