2022 Fiscal Year Research-status Report
Comprehensive Research on Chinese Bronze Ware: Production and Distribution of Shang-Zhou Bronze Ware from the Viewpoint of Shape, Pattern, and Inscription
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21KK0217
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Research Institution | Komazawa University |
Principal Investigator |
角道 亮介 駒澤大学, 文学部, 准教授 (00735227)
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Project Period (FY) |
2022 – 2024
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Keywords | 青銅器 / 中国 / 殷周時代 / 銘文 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、中国の初期王朝時代において集団統合と政治体の形成に大きく関わった青銅器の、全面的な編年研究である。近年の出土量の増加に反して、その編年体系への全面的な検討は長く停滞している。中国人研究者により出土資料に基づく詳細な分析はあるものの、細分化されすぎたためにむしろ全体像としての変化の方向が見えにくくなっている側面がある。中国全土の出土資料と世界各地の博物館資料を総合し、器形・紋様・銘文という側面から全面的な編年研究を行うことで、殷周青銅器編年の今日的な基準をうち建てることを目的とする。本年度の研究期間では、中国殷周時代の青銅器にたいする全面的な編年研究を行うために、国内資料集成のための準備を行った。 日本国内では東京(東京国立博物館・根津美術館・書道博物館など)、京都(泉屋博古館・藤井有鄰館など)、奈良(奈良国立博物館・寧楽美術館など)を中心に、大坂や滋賀など、各地で殷周青銅器のコレクションがある。2023年度に行う国内資料調査のため、本年の研究期間においては青銅器資料調査の準備計画を検討し、また2024年度に行う予定の米国での資料調査のための既刊行資料の収集を開始した。 このほか、考古資料記録の新たな手法としてフォトグラメトリを採用し、資料の三次元計測を行うための準備を進めた。具体的には、Agisoft社のMetashapeを導入することで、対象資料のミリ単位での三次元モデル化が可能となり、青銅器の製作方法の詳細な比較を行う上での基礎データの収集ができる。資料収集の準備とあわせて、三次元計測実施のための情報収集を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度の本研究の実施期間はおおよそ1か月余りであり、主な研究は2023年度・2024年度に実施される見込みである。研究計画書に記載した研究計画のうち、2022年度に実施すべき研究準備についてはほぼ計画通り、順調に実施することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度には日本国内の青銅器資料の再集成と分類を行うとともに、中国で出土した新出資料の集成を行う。日本国内の資料の多くは既知の資料であるが、器形・紋様・銘文といった青銅器の個々の要素を資料化する予定である。また、写真撮影や3Dモデルの作成も並行して進め、国外研究の際に比較対象となるデータ収集にも努める。 2024年度には、米国と中国にて、青銅器資料の集成と分類を行う。米国ではフリア美術館・サックラー美術館を中心に、数多くの殷周青銅器資料が収蔵されており、これらの資料についても同様の資料調査を行いたい。実測・写真撮影・拓本作成などによって、該資料の考古学的特徴を分析する。 中国で発掘調 が実施される10月~11月には中国に赴き、新出資料の収集に努める。山東大学歴史文化学院の路国権准教授と協力しながら、陝西省・河南省・山東省を中心に、新出青銅器資料の資料化を進める。
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