2022 Fiscal Year Research-status Report
Empirical Study of Establishment of Multilateral Settlement System and Agents in Nineteenth-Century Asia
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21KK0231
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小林 篤史 京都大学, 東南アジア地域研究研究所, 助教 (40750435)
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Project Period (FY) |
2022 – 2023
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Keywords | 多角的決済システム / 19世紀アジア |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、近代アジアのマクロな域内貿易・金融の発展に、実践者の活動というミクロな視点からアプローチするため、19世紀のアジア域内貿易と金融送金の発達に、現地の商人や金融業者が果たした役割を史料から解明することを目的とする。 具体的には19世紀にアジア域内で商取引や金融送金を主導した西洋代理商会と華僑送金に注目する。 前者については英ケンブリッジ大学所蔵のジャーディン・マセソン商会の経営文書の収集分析を進めており、そこからはアジアで活動した西洋系商社が西欧・アジア間のみならず、アジア域内の金融送金に携わっていた実態がみえてきた。この成果を取り込んだ研究報告を国際学会で報告した(報告題目China Inside Out、学会Chinese Economy in the Long run、2022年10月英国マンチェスター大学)。 後者の華僑送金については、東南アジアに出稼ぎに渡った中国労働者が、故郷に送った手紙兼送金証書である僑批(Qiaopi)を参考に、国際貿易・金融の発達の中で華僑送金がどのように対応・進化したかを検討した。特にシンガポールを中心とした送金システムが19世紀の初頭から中国向け商品貿易の発達と密接に連動する形で発展し、それが19世紀後半にマクロ経済関係の変化に対応した進化を示したことが判明しつつある。この成果に基づく研究報告を客員研究員として滞在中のケンブリッジ大学のワークショップにて報告した(報告題目Development of Overseas Chinese Remittances in Singapore、ワークショップTransregional East Asia、2023年3月英国ケンブリッジ大学)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通り、2022年8月よりイギリス・ケンブリッジ大学の歴史学部に客員教授として滞在し、大学図書館所蔵のジャーディン・マセソン商会資料を収集してきた。膨大な資料の状況把握、必要なシリーズの同定、そして写真撮影による資料収集を着実に進めてきた。また資料の整理・分析も現地の共同研究者とともに進め、その成果がまとまりつつある。成果の一部はすでに国際学会報告の内容の一部に取り込んだ。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、ケンブリッジ大学に滞在する7月末まで対象となるジャーディン・マセソン商会資料の収集と整理・分析を進める。さらにそこから得られた結果を共同研究者とともに精査・議論することで、英文論文として仕上げていく作業をすする予定である。また、もう一つの研究対象である華僑送金については、すでにケンブリッジ大学のワークショップで報告した内容をベースとした英文論文を執筆し、時機を見て国際ジャーナルに投稿する予定である。
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Research Products
(7 results)