2022 Fiscal Year Research-status Report
詳細反応機構-超臨界圧燃焼LES解析を可能とする乱流燃焼モデルの開発
Project/Area Number |
21KK0250
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
寺島 洋史 (石原洋史) 北海道大学, 工学研究院, 准教授 (20415235)
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Project Period (FY) |
2022 – 2024
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Keywords | 超臨界圧燃焼 / LES解析 / 火炎モデル / 詳細反応 / 気液二相流 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の基盤となる超臨界圧燃焼シミュレーション(CFD)技術を開発した.解析技術の特徴は,熱物性,輸送物性モデルに加えて,従来研究では考慮されない化学反応率に対する非理想性モデルを導出したことにある.モデル実装および評価を実施し,国際会議および査読論文として成果発表を行った.乱流燃焼現象で重要となる化学反応項LESモデル開発については,火炎帯を人工的に厚くするモデル(LTF)をベースとし,現象で重要と考えられる火炎伸張率効果を考慮した新しい火炎モデル(LTF-X)の研究開発を進めた.本モデルは,燃焼速度と火炎伸張率の関係をMarkstein長さで結びつける理論式に基づいたもので,参照解となる直接数値解析(DNS)の結果を粗い格子でも再現できるよう新しい余剰項を構築し支配方程式に加えるこれまでに無いモデルである.現在までに,水素空気予混合気の円筒伝播火炎および渦-平面火炎干渉問題といった燃焼流れ場を通して,粗い格子においてもLTF-XモデルがDNS解(火炎伝播速度や火炎形状)を再現できることを確認した.また,海外共同研究者とのやり取りにおいて,超臨界圧状態に限定することなく,亜臨界圧状態(気相と液相)を含む,一段高いレベルとなる多相燃焼CFD技術開発を行うことも進めており,超臨界圧燃焼CFD技術をベースに気液平衡を考慮したモデル開発を行った.ギブス自由エネルギーにより単相か気液混相状態となるかを判断し,流体接触面の状態をモデリングするものである.気液平衡モデルの実装はほぼ完了し,従来は単相として扱っていた超臨界圧条件においても気液混相状態になり得ることがあり,気液平衡条件を考慮することで密度や音速などの熱物性値が変化することを見出した.これは超臨界圧状態を単相として解析することの限界を示すものといえる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本国際共同研究では,超臨界圧燃焼流れ場の高精度予測を可能とする数値シミュレーション(CFD)技術の開発を目指している.まず,基盤となる超臨界圧燃焼CFD技術を開発してきた.熱物性,輸送物性モデルに加えて,従来研究ではほとんど考慮されない化学反応率に対する非理想性モデルを導出し,実装および評価することに成功した.結果は,第39回国際燃焼シンポジウムで発表され,査読論文公表と成果を挙げている.乱流火炎で重要となる化学反応項LESモデル開発は,火炎帯を人工的に厚くする火炎モデルをベースに,乱流火炎現象で重要と考えられる燃焼速度に対する火炎伸張率効果を正しく再現可能なモデル開発を進めている.開発モデルは,燃焼速度と火炎伸張率の関係をMarkstein長さで結びつける理論式に基づいたもので,参照解となる直接数値解析(DNS)の結果を粗い格子でも再現できるよう余剰項を構築しLES支配方程式に導入するものである.これまでの研究によって,人工的に厚くされた火炎においても火炎伸張率効果を正しく再現できる余剰項の導出に成功し,粗い格子においても,開発モデルがDNS解(火炎伝播速度や火炎形状)を再現できることを確認できた.現在は,円筒伝播火炎および渦-平面火炎干渉問題と簡易な燃焼流れ場に留まるが,本共同研究によって,一般的な乱流火炎場へのモデル拡張と適用を加速させていく.また,海外研究者との共同研究として,超臨界圧状態に限定することなく,亜臨界圧状態(気相と液相)を含む,一段高いレベルとなる多相燃焼CFD技術開発も進め,モデリングの基盤となる気液平衡モデルの開発を新たに行っている.従来は単相として扱っていた超臨界圧条件においても気液二相状態になり得ることを確認し,気液平衡を考慮することで密度や音速などの熱物性値が変化することを見出した.以上から,各項目いずれも研究進捗は順調である.
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Strategy for Future Research Activity |
2023年4月から1年間の予定で,スタンフォード大学に滞在予定である.海外共同研究者,博士研究員,および博士課程学生との密接な議論を通じて,本研究課題を推進する.
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Research Products
(6 results)