2022 Fiscal Year Research-status Report
画像処理と流体力学の融合による衝撃波検知と高精度実用乱流計算
Project/Area Number |
21KK0258
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
北村 圭一 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 准教授 (20402547)
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Project Period (FY) |
2022 – 2024
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Keywords | 数値流体力学 / 乱流 / 衝撃波 |
Outline of Annual Research Achievements |
衝撃波は圧縮性流体における物理量の不連続面である.基課題では画像処理(情報工学分野)におけるエッジ検出法『Canny法』を衝撃波に応用する事で,衝撃波を自動で簡単かつ正確に検知している.そしてこれを組み込んだ高精度流体計算法の構築に取り組んでいる.ただしその適用範囲は現状,乱れの無い「層流」状態に限られている.本国際共同研究では,これをより現実的な「乱流」状態に発展させる.実用乱流計算の世界的実績を有する英国ケンブリッジ大学Paul G. Tucker教授と共同研究を実施し,衝撃波と乱流を共に安定かつ精度良く捕捉する方法を提案する. 衝撃波と乱流は,その数値的な扱い方が真逆となる.前者は計算手法中の「数値散逸」を上げて安定に捉える必要がある事に対し,乱流は数値散逸を下げないと精度良く捉えられない.よって衝撃波をCEDRICで正確に検知して計算を安定化し,それ以外の位置における「乱流」は数値散逸を抑えて精度良く捉える事が本国際共同研究の目的である. 乱流は層流と異なり,多くの場合にモデル化を要する.TuckerらはハイブリッドRANS/LESモデルの範疇で,古典的な数値解法に対し数値散逸を制御する事で実用乱流の高精度計算を行っている.ただし対象は衝撃波の発生しない亜音速流れであり,ここで使用されたRoeの方法は実のところ衝撃波で不安定になる事が知られている.この衝撃波における異常解発生の問題を克服したのが申請者らの提案したSLAU2である.これらをうまく組み合わせれば,衝撃波および乱流を安定かつ精度良く計算できると考えた. 2022年度は基課題を仕上げつつ,渡航の準備を進めている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
まだ実際の渡航を行なっていないが,そのための準備を滞りなく進めている.
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Strategy for Future Research Activity |
2023年8月下旬から2024年3月半ばまで英国ケンブリッジ大学に滞在する.海外共同研究者のTuckerからノウハウを直接提供いただき,基課題の内容をより実用的な乱流計算へと昇華させる.この時,種々のベンチマーク問題により本手法の有効性および課題を明らかにする.またTucker教授や研究室メンバーとの議論次第で,用いる方法自体の修正もあり得る.こうして完成させた方法を世界標準の新しい乱流計算法として国際会議やジャーナル論文で発表する(申請予定の発展課題にも資する).また航空機全機や種々の流体物理へと適用し,帰国後(2024-25)まとめる.
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