2022 Fiscal Year Research-status Report
次世代胚盤胞補完法と大動物を用いた機能的な唾液腺の創生
Project/Area Number |
21KK0290
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
田中 準一 昭和大学, 歯学部, 講師 (40710166)
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Project Period (FY) |
2022 – 2023
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Keywords | 唾液腺 / iPS細胞 / 胚盤胞補完 / 臓器サイズ |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は本研究課題の目的である、次世代胚盤胞補完のために必要となる唾液腺欠損モデルマウスの探索を試みた。すでにFGFR2のノックアウトマウスでは唾液腺が欠損される報告がなされているが、より唾液腺に限定的な表現型を示すマウスモデルを探索した。具体的には胎生8.5日、9.5日、12.0日マウスの寄託されたscRNAseqのデータの解析を行い、Surface Ectodermのcluster内で口腔粘膜の遺伝子発現パターンを示す集団を同定した。それらの細胞集団より胎生8.5日および9.5日より発現を示す遺伝子をCreドライバー遺伝子として使用しFGFR2をコンディショナルにノックアウトしたマウスの唾液腺の表現型を解析した。すでに3つのマウス系統についてドライバー遺伝子のlineage tracingおよびFGFR2のコンディショナルノックアウトの解析を行っており、そのうちの1つのマウスでは胎生9.5日より口腔粘膜上皮が標識され、胎生15.5日の唾液腺上皮全体が標識されることが明らかとなった。またFGFR2のコンディショナルノックアウトの解析では、胎生15.5日で唾液腺が欠損していることも確認された。またこのコンディショナルノックアウトマウスはFGFR2の全身性ノックアウトでみられる四肢の無形成はみられず、より唾液腺に限定的な表現型を示すことが明らかとなった。これらの結果は本研究課題の土台となる次世代胚盤胞補完のためのマウスモデルが同定されたことを示している。次年度よりこの唾液腺欠損マウスの胚盤胞を用いて多能性幹細胞の補完実験を遂行できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度に次世代胚盤胞補完に用いる宿主マウスモデルを同定することができたため概ね順調に進展していると考えられる。このマウスモデルについてのlineage tracing解析および表現型についての解析は概ね終了している。また次世代胚盤胞補完のドナー細胞として用いるiPS細胞についてはすでに準備が整っており、現在のところ研究期間内に研究を遂行できることが予測される。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は本年度に同定した、宿主マウスの胚盤胞に対してマウスiPS細胞またはラットiPS細胞を注入し次世代胚盤胞補完法を行う。細胞を注入したマウスの唾液腺形成の有無、およびipS細胞での補完を組織学的に解析する。これらの比較を行い、ドナー細胞の動物種の違いによって補完された唾液腺のサイズを比較検討し、種間によるサイズ制御の差異があるか否かを明らかにする。
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