2011 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト化NOGマウスを基盤とした個別医療に対応するヒト型実験システムの開発
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22220007
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Research Institution | Central Institute for Experimental Animals |
Principal Investigator |
伊藤 守 公益財団法人実験動物中央研究所, 実験動物研究部, 部長 (00176364)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安藤 潔 東海大学, 医学部, 教授 (70176014)
小柳 義夫 京都大学, ウイルス研究所, 教授 (80215417)
高橋 武司 公益財団法人実験動物中央研究所, 実験動物研究部, 室長 (80335215)
亀谷 美恵 東海大学, 医学部, 講師 (50338787)
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Keywords | 実験動物 / 免疫不全マウス / ヒト化モデル / 個別医療 |
Research Abstract |
本研究は、1.改良型NOGマウスのヒト化モデルとしての解析とその特性検索、2.完全ヒト型免疫系保有マウスの作製、3.基礎研究としての、NOGマウス由来ES細胞の樹立と遺伝子改変法の開発およびips細胞からのヒト人工胸腺の作製や造血幹細胞の樹立の試みを実施し、個別医療に適したヒト化動物モデルシステムを確立することである。本年度は、1.改良型NOGマウスとして、NOG-hIL-2マウスで優位に分化するNK細胞の機能的な解析を行った。また、NOG-hGM-CSF/IL-3マウスで幹細胞移入後に今まで分化しなかったヒト好中球、好酸球や好塩:基球が分化することが明らかとなり、新しいヒト化モデルが作製できた。それ以外の多様なマウス系統についても広範に検討した。2.HLAクラス2分子であるDRAO405を遺伝子導入したNOG-DRAO405マウスで、同ハプロタイプを持つ造血幹細胞を移植することによって、今まで困難とされた抗原特異的なIgG抗体が産生されることが確認され、完全ヒト型免疫系保有マウスにより近づくことができた。3.NOGマウスから樹立されたES細胞を用いて、3つのヒト遺伝子の置換を実施した。そのうち、1遺伝子でキメラマウスが得られて、遺伝子改変が容易にできる可能性が示唆された。マウスES細胞を用いた全能性幹細胞からの人工胸腺の作製の検討を行っているが、現在までに成功していない。また、造血幹細胞への分化法の検討に関しては、in vitroでのCD34+細胞への分化誘導はできるが、NOGマウス(in vivo)内での多様な造血細胞への分化は未だ確認できていない。その他、ヒト化マウスを用いて、EB感染よる血球貧食性リンパ組織球症などの多様な病態モデル、急性リンパ性白血病(ALL)の肝臓ニッチの同定など多様な応用研究が行われた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1、各種改良NOGマウスで、ヒトNK細胞のみが増えるマウス、ヒトの顆粒球が分化するマウスなど、かつ極めて特徴的なヒト化マウスが作製できていること。また、現在も検討中であるが、それらを使うことにより、今までなかったヒトの疾患モデルを作製できることが考えられること。2.従来困難であった抗原特異的なヒトIgGクラス抗体を産生できるヒト化マウスが作製でき、ヒト型免疫が極めて近づいたと考えられること。平成23年度中にはHLA class II抗原を発現するNOGマウスも得られることから、さらによりヒト型免疫に近いヒト化マウスが得られるであろうこと。3、NOGマウス由来のES細胞を用いて、ヒト分子を置換させたマウスが順調に作製されている。これによって、より早くかつ効率良く改良NOGマウスができるようになるだろうこと。以上のことから、当初の研究は順調に推移していると考えている。4.ただし、ヒトiPS細胞からの人工胸腺や造血幹細胞の分化はまだ成功しておらず、この点を重点的に検討していきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
動物の作製、解析の研究は上記のように順調に推移しているが、当初の目的の1つであるヒトiPS細胞からの人工胸腺や造血幹細胞の分化はまだ成功しておらず、この点をどのように遂行するのかが現在の課題である。人工胸腺については、マウスES細胞を用いて、特に胸腺上皮細胞(TEC)で発現するFoxn1の発現誘導を中心に解析してきた。ある培養条件でFoxn1の発現誘導が可能であることが判明したが、それを増殖させる条件が必要である。また、ES細胞に分化誘導した後に、Foxn1を強制発現してその細胞の分化性も検討していく。ES細胞からFoxn1それ以外の遺伝子の動態も検討していく。これらの検討から、TECを効率良く分化する方法を確立したい。
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Research Products
(33 results)