2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22222002
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (S)
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Research Institution | The Middle Eastern Culture Center in Japan |
Principal Investigator |
大村 幸弘 財団法人中近東文化センター, アナトリア考古学研究所, 所長 (10260142)
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Keywords | アナトリア / 文化編年 / 先史時代 / カマン・カレホユック |
Research Abstract |
財団法人中近東文化センター附属アナトリア考古学研究所は、平成22年6月15日から第25次カマン・カレホユック発掘調査を開始し、実際の発掘作業を7月19日~9月7日まで行った。この発掘調査の主目的の一つは、先史時代の『文化編年』を構築することであり、カマン・カレホユック遺跡に居住した民族とその文化を解明し、古代中近東世界と古代南東ヨーロッパの接点であるアナトリアが文化的、歴史的に果たしてきた役割を明らかにすることにある。特に先史時代の『文化編年』を構築することにより、古代中近東世界で東西、南北のほぼ中央部に位置するアナトリアが文化的にどのような役割りを演じたかを解明する。カマン・カレホユック遺跡では、第IVb層、即ち前3千年紀末の前期青銅器時代まで掘り下げており、平成22年度の作業はその層序の発掘から開始した。 当該シーズンの発掘調査では、カマン・カレホユック第IIIc層、アッシリア商業植民地時代の最下層と思われる層序から金製品が確認されたが、この遺物は板状で獅子像を形作ったものであり、出土層の年代付けを考える上で一つの手がかりになりうる。発掘調査期間中に、数多くの炭化物を現場で採取したが、C14年代測定の分析結果と層序を中心として『文化編年』の構築を押し進めたいと考えている。この他数多くの遺物が出土しており、これらのクリーニング、修復、復元、整理作業を行った。これらの作業の中で特に遺物の整理作業が、安定した『文化編年』の構築につながっていくものと考える。更に、出土遺構の床面とその断面は文化層を判断する上で重要な基準の一つとなるため、発掘終了後には現場に屋根を架け遺構を保存した。架設屋根による発掘現場の保存が次のシーズンを迎える上で、非常に有効なものとなる。 当該シーズンの結果を次のシーズンにつなげて行くことによって、『文化編年』の構築がより確実になっていくものと確信している。
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Research Products
(5 results)