2011 Fiscal Year Annual Research Report
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22222002
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Research Institution | The Middle Eastern Culture Center in Japan |
Principal Investigator |
大村 幸弘 (財)中近東文化センター, アナトリア考古学研究所, 所長 (10260142)
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Keywords | アナトリア / 文化編年 / 先史時代 / カマン・カレホユック |
Research Abstract |
(財)中近東文化センター附属アナトリア考古学研究所は、平成23年6月30日~9月5日、第26次カマン・カレホユック発掘調査を行った。この発掘調査の主目的の一つは、『文化編年』を構築することであり、カマン・カレホユック遺跡に居住した民族とその文化を解明し、古代中近東世界と古代南東ヨーロッパの接点であるアナトリアが文化的、歴史的に果たしてきた役割を明らかにすることにある。特に先史時代の『文化編年』を構築することにより、古代中近東世界で東西、南北のほぼ中央部に位置するアナトリアが文化的にどのような役割りを演じたかを解明する。 当該年度の調査では、北区で第III層、南区で第II層を中心に調査を進め、北区では第IIIc層から第IVa層にかけての移行期、換言すると前期青銅器時代から中期青銅器時代の文化層、南区では第IIc層と第IId層、初期鉄器時代を中心に調査を行った。 北区のIV~VIII区にかけて行ったこれまでの発掘調査からは、第IIIc層、アッシリア商業植民地時代の南北に走る大きな建築遺構が確認されおり、大ぶりで堅固な土台と石敷きの床が一つの特徴となっているが、新たに確認した建築遺構から、これまで考えていた以上にアッシリア商業植民地時代の集落は規模的にもかなりの広がりを持ち合わせていたことが明らかとなってきた。この他数多くの遺物が出土しており、これら出土遺物のクリーニング、修復、復元、整理作業を行った。これらの作業を継続して行うことが、『文化編年』の構築につながっていくものと考える。要に、出土遺構の床面とその断面は文化層を判断する上で重要な基準の一つとなるため、発掘終了後には現場に屋根を架け遺構を保存した。架設屋根による発掘現場の保存は非常に有効な手段である。 これらの作業や結果を積み上げて行くことによって、『文化編年』の構築がより確実になっていくものと確信している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度も『文化編年の構築』を研究目的として、北区では第IIIc層から第IVa層にかけての移行期、換言すると前期青銅器時代から中期青銅器時代の文化層、また、南区では第IIc層と第IId層、つまり初期鉄器時代を中心に調査を行った。調査は順調に進み、北区で検出されたアッシリア商業植民地時代の集落が規模的に予想以上に大きいこと、建築構造が他の時代に比較してもかなり堅固であったこと等が明らかになった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後もカマン・カレホユック遺跡の北区で『文化編年』の構築、南区で鉄器時代の集落形態と建築について調査しつつ、仮層で取り上げている遺物を建築層毎に整理することに重点をおいて作業を進める計画である。 現在大きな問題点として浮上して来ているのが、北IX区で検出されている東西に走る城塞が、果たしてアッシリア商業植民地時代のものか、あるいはヒッタイト古王国時代に年代付けられるのか、という点である。これに関しては平成24年度の調査で明らかに出来ると考えているが、この点が明らかになったところで北区の第IIIb層、第IIIC層の全貌が見えてくるものと考えている。
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Research Products
(7 results)