2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22222002
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Research Institution | The Middle Eastern Culture Center in Japan |
Principal Investigator |
大村 幸弘 (公財)中近東文化センター, アナトリア考古学研究所, 所長 (10260142)
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Project Period (FY) |
2010-05-31 – 2015-03-31
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Keywords | アナトリア / 文化編年 / 先史時代 / カマン・カレホユック |
Research Abstract |
(財)中近東文化センター附属アナトリア考古学研究所は、平成24年6月25El~9月15口、第27次カマン・カレホユック発掘調査を行った。この発掘調査の主目的の一つは、『文化編年』を構築することである。この発掘調査を通し、カマン・カレホユックに居住した民族とその文化を解明し、古代中近東世界と古代南東ヨーロッパの接点であるアナトリアが文化的、歴史的に果たしてきた役割が明らかにできるもの考える。特に先史時代の『文化編年』を構築することにより、古代中近東世界で東西、南北のほぼ中央部に位置するアナトリアが文化的にどのような役割りを果たしたのかを解明したい。 当該年度の調査では、北区で昨年度に引き続き第III層と第IV層、南区で第II層を中心に発掘を進めた。特に北区では、第IIIc層-アッシリア商業植民地時代、第IVa層-中間期、そしてその直下の第IVb層で調査が行われている。アナトリア考古学では、アッシリア商業植民地時代を形成したアッシリア商人は、前20世紀後半にアナトリアへ経済活動のために入り込んだと考えられていた。しかし、カマン・カレホユックの最近の発掘調査によると、第IVa層-中間期には既に経済活動に入っていたことが明らかである。 昨年度も多数の遺物が出土しており、これら出土遺物のクリーニング、修復、復元、整理作業を行った。これらの作業を継続して行うことが、『文化編年』の構築につながっていくものと考えている。出土遺構の床面とその断面は、文化層を判断する上で重要な基準の一つとなるため、発掘終了後には現場に屋根を架け遺構を保存した,オフシーズン中も発掘現場を保存し翌年の研究につなげるには、架設屋根は非常に有効な手段である。 これらの作業と、その結果を積み上げて行くことによって、『文化編年』の構築がより確実になっていくものと確信している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度も『文化編年の構築』を研究目的として、北区では第IIIc層から第IVa層にかけての移行期-前期青銅器時代から中期青銅器時代の文化層-、また、南区では第IIc層と第IId層-初期鉄器時代-を中心に調査を行った。北区で発見されているアッシリア商業植民地時代の集落の規模も明らかになりつつあり、この建築構造が他の時代に比較してもかなり堅固であることは間違いないと思われる。調査は順調に進んでおり、北区では第IVa層の中間期の建築遺構を確認することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後もカマン・カレホユック遺跡の北区で『文化編年』の構築、南区で鉄器時代の集落形態と建築について調査しつつ、仮層で取り上げている遺物を建築層毎に整理することに重点をおいて作業を進める計画に変わりはなく、この作業を継続していくことこそが編年構築に重要であると考える。 今後の調査では、当該年度同様北区では第IVa層の中間期と第IVb層の前期青銅器時代に焦点を合わせ、第IIIc層の建築遺構を取り外し、第VIa層の確認を進めたい。北V区の調査では鉄資料も検出されており、化学分析とその結果の検証を行いたい。
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Research Products
(11 results)