2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22222003
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
竹沢 泰子 京都大学, 人文科学研究所, 教授 (70227015)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 和人 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10202011)
高階 絵里加 京都大学, 人文科学研究所, 准教授 (80324698)
石井 美保 京都大学, 人文科学研究所, 准教授 (40432059)
日下 渉 京都大学, 人文科学研究所, 助教 (80536590)
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Keywords | 人種 / 人種主義 / 差別 / 表象 / 科学言説 / マイノリティ / エスニシティ |
Research Abstract |
欧米の人種研究は視覚表象に着目するものであった。本研究の目的は、人種表象と社会的リアリティについて、特に日本やアジアにみられる「見えない人種」の非視覚表象に焦点を当てて解明することである。 こうした問題意識から、本年度は計13回の研究会を実施した。まず人文科学研究所における共同研究として、6月に天皇制と部落問題における人種表象についてタカシ・フジタニと関口寛が報告を行い、成田龍一、北原恵、金仲燮がコメントを行った。12月には金仲燮、松本ますみ、石井美保、大浜郁子が、それぞれ韓国、中国、インド、台湾における人種表象について報告を行った。3月には斉藤綾子のコーディネートのもとで日本映画における人種表象について議論を深めた。 また国際的な研究成果の発信も重視した。7月には、オーストラリアで開催された国際人類学民族学会議においてChanging Representation of Indigenous and Migrant Groups in Globalizing Japan: Genes, Bones, and Culturesと題したパネルを組織し、竹沢泰子、瀬口典子、スチュアート ヘンリ、工藤正子、前嵩西一馬、太田博樹が報告した。平成24年1月には、「人文学とゲノム研究のインターフェイス」と題して、京都大学東京オフィスにTimothy Caulfield教授を招き、文理融合の視座からゲノム研究における人種表象の倫理問題に関する共同声明を準備した。24年度への繰越予算では、7月にNikkei Studies and Beyond: Dialouge between Scholars in Japan and the U.S.と題した公開座談会を京都大学東京オフィスで開催した。 さらに研究成果を論集として出版するため、平成23年7月から25年2月までに計5回の合宿を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本プロジェクトは、平成23年度も国境を越えた研究者間の学際的対話を通じて、予想以上の進展をみせている。まず、本プロジェクトの研究領域のうち、(1)「見えない人種」の比較研究」、(2)「人種の科学表象」、(3)「「混血/ミックス」表象の比較研究」は、毎月の研究会に加えて計4回の合宿で活発な議論を重ねつつ、平成24年12月に国立京都国際会館で国際シンポジウムを開催し、また東京大学出版会から全3巻の論集「人種神話を解体する」を出版するべく準備を進めた。 (4)「日系アメリカ人の人種表象」については、平成22年度からの繰越予算で平成23年10月にカリフォルニア大学ロサンジェルス校で開催した合同シンポジウムの成果をもとに、論文集Racialization and Resistance among Japanese Americans (Yasuko Takezawa and Gary Okihiro ed.)を、University of Hawaii Pressから出版する準備を進めている。この論集は、従来の一国内に閉ざされた研究パラダイムを越える国際共同研究の成果となる。 (5)「人文学とゲノム研究のインターフェイス」については、平成24年1月に開催した国際ワークショップの成果に基づいて、"Human Genetic Research, Race, Ethnicity and the Labeling of Populations: Recommendations Based on an Interdisciplinary Workshop" と題した共著論文(筆頭著者 竹沢泰子)を用意した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、各研究テーマについて深めた知見を社会に還元する活動を展開する。 ●学術書の出版:(1)シリーズ『人種神話を解体する』竹沢泰子(編集責任)東京大学出版会、2014年2~4月刊行予定、(第1巻『Invisibility 「見えない人種」の表象』、第2巻『Knowledge 科学と社会の共生産』、第3巻『Hybridity 「血」の政治学を越えて』)。(2)Racialization and Resistance among Japanese Americans, Yasuko Takezawa and Gary Okihiro eds., University of Hawaii Press.(2015年刊行予定)。(3)Race Beyond the Wesern Paradigm, Yasuko Takezawa eds.,出版社未定(2015年刊行予定) ●国際シンポジウム:(1)「人種神話を解体する」2012年12月、国立京都国際会館。(2)Rethinking Race/Racism from Asian Experiences、2013年5月、モナッシュ大学。(3)Between and Beyond Two Empires,「アジアとアメリカの<帝国>を越えて」2013年7月、京都大学東京オフィス。(4)Race from Global Perspectives、「人種表象のグローバルな比較研究」、日本文化人類学会50周年記念事業、2014年5月、幕張メッセ。(5)Race and Ethnicity in East and South Asia,「東アジア・南アジアにおける人種・エスニシティ」2015年1月、デリー大学。 ●社会還元:(1)「中等教育でまなぶ「人種」と「民族」とヒトの多様性」2013年4月、日本学術会議。
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Research Products
(5 results)