2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22224001
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
金銅 誠之 名古屋大学, 多元数理科学研究科, 教授 (50186847)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長尾 健太郎 名古屋大学, 多元数理科学研究科, 助教 (10585574)
江口 徹 立教大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (20151970)
伊藤 由佳理 名古屋大学, 多元数理科学研究科, 准教授 (70285089)
伊山 修 名古屋大学, 多元数理科学研究科, 教授 (70347532)
菅野 浩明 名古屋大学, 多元数理科学研究科, 教授 (90211870)
馬 昭平 名古屋大学, 多元数理科学研究科, 助教 (80633255)
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Project Period (FY) |
2010-05-31 – 2015-03-31
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Keywords | 数学 / 代数学 / 代数幾何学 / 格子 / 保型形式 / モジュライ空間 / K3曲面 / エンリケス曲面 |
Research Abstract |
1) モジュライ空間と保型形式の研究: 射影直線の 6 点のモジュライとして現れる Segre cubic と Igusa quartic は互いに双対であり共に有界対称領域の算術商の佐武のコンパクト化でもあるが、保型形式を用いた双対写像の構成に成功した。一方、モジュライ空間の有理性の問題は困難な問題の一つである。K3曲面とその対合の組からなる2-初等的K3曲面のモジュライ空間は 75 種類の族からなるが、2 つの族を除いてそれらの有理性を証明した。 2) 有限群と自己同型群の研究: 有限単純群にしばしば現れるリーチ格子の幾何学を用いて、正標数の閉体上定義された超特異K3曲面の研究で成果が得られた。標数 3 の場合には、超特異K3曲面でアルチィン不変量が 1 の曲面の自己同型群(非可換無限群)の生成元を見いだした。また任意正標数の場合に、格子理論を使って超特異K3曲面のネロン・セヴェリ格子のある種の双対性を見いだした。 K3曲面に自己同型として作用する有限群と散在型有限単純の一つである次数 24 のマシュー群M24との関係として向井の結果が知られている。本研究で、K3曲面の固定点を持たない対合による商として現れるエンリケス曲面とM24のマシュー群の部分群である次数 12 のマシュー群M12との関係を解明しつつある。 3) 数理物理との関係: マシュー・ムーンシャインを半分にしたエンリケス曲面に関係したマシュー群 M12 のムーンシャインを見いだした。 4) その他:研究代表者は国際研究集会「Algebraic geometry, modular forms and applications to physics」, November 26-30, 2012, ICMS, Edinburgh の組織委員として集会を組織、運営した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
保型形式を用いたモジュライ空間の研究は新たな具体例の成果が得られている。一方、モジュライ空間の有理性の判定は一般論がなくこれまであまり進展がなかった。そのような状況の中で、本研究では大きな進展を得ている。さらに2-初等K3曲面のモジュライ空間の有理性の証明により、これらのモジュライ空間が具体的に記述できる可能性のあることが判明した。期間中にはさらに成果があがることが期待される。 リーチ格子の幾何学を用いて様々なK3曲面の幾何学的研究成果が得られている。さらに格子理論を用いて超特異K3曲面のある種の双対性を見いだすことができた。期間内にはこれらをさらに進展させ論文にまとめる予定である。正標数特有に現れる超特異K3曲面の研究は 1980 年代の A. Ogus らの仕事以降大きな進展はなかったことを考慮すると、本研究の成果は重要と考える。 エンリケス曲面に自己同型として作用する有限群とマシュー群との関係の研究、エンリケス曲面の(全)自己同型群の研究も順調に進んでいる。 またエンリケス曲面に関連したムーンシャイン現象の発見がなされ、新たな展開が期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究方法はこれまでと同様に定期的セミナー等の他、研究集会の開催、参加を通して行う。 平成 25 年 6 月に、京都大学数理解析研究所において、モジュライ理論の発展(Development of moduli theory)をテーマにしたレクチャーシリーズと国際研究集会を連続して開催する。これは日本数学会季期研究所および京都大学数理解析研究所のプロジェクトとして採択された計画でもある。招待講演者は V. Alexeev, T. Bridgeland, I. Dolgachev, G. Farkas, B. Hassett, D. Huybrechts, J.H. Keum, B. Kim, R. Laza, E. Looijenga, T. Mochizuki, S. Mukai, H. Nakajima, I. Nakamura, V. Nikulin, C. Simpson, K. Yoshioka である。テーマはK3曲面・エンリケス曲面のモジュライ、モジュライ空間のコンパクト化、ベクトル束のモジュライ理論、表現論とモジュライである。この機会に内外の研究者との研究連絡を行いながら研究を進めていく。 研究代表者は平成 25 年 9 月に Cetraro(イタリア)で F. Catanese (Bayreuth) が主催する国際会議「Classification of Algebraic Varieties and related topics」に招待講演者として参加し研究連絡を海外の専門家と行う中で、本研究を進める予定である。
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Research Products
(31 results)