2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22224003
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
益川 敏英 名古屋大学, 素粒子宇宙起源研究機構, 特別教授 (60022612)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山脇 幸一 名古屋大学, 素粒子宇宙起源研究機構, 特任教授 (90135301)
棚橋 誠治 名古屋大学, 基礎理論研究センター, 教授 (00270398)
原田 正康 名古屋大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (40311716)
野尻 伸一 名古屋大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (00432229)
前川 展祐 名古屋大学, 基礎理論研究センター, 准教授 (40273429)
早川 雅司 名古屋大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (20270556)
戸部 和弘 名古屋大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (20451510)
酒井 忠勝 名古屋大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (50375359)
野中 千穂 名古屋大学, 基礎理論研究センター, 准教授 (10432238)
青木 保道 名古屋大学, 基礎理論研究センター, 准教授 (20292500)
松崎 真也 名古屋大学, 理学(系)研究科(研究院), 特任助教 (20377956)
柴田 章博 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 計算科学センター, 機関講師 (30290852)
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Project Period (FY) |
2010-05-31 – 2015-03-31
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Keywords | 対称性の破れ / ゲージダイナミックス / ウォーキング・テクニカラー / テクニディラトン / 格子ゲージ理論 / LHC / 複合ヒッグス / コンフォーマル対称性 |
Research Abstract |
前年度に引き続き、複合ヒッグス模型としての近似的コンフォーマル対称性を持つウォーキング・テクニカラー理論のLHCでの検証のため、さらに理論的予言の詳細を研究した。とくにLHCで125GeVのボソンが発見されて以来、125GeVの質量の複合ヒッグスとしてのテクニディラトンの各崩壊モードの大きさを「はしご近似」とホログラフィーに基づき評価した。この評価は現在までのLHC実験データと整合している。さらに理論の予言する他の粒子(テクニパイ、テクニロー)の性質を詳しく調べLHC実験での検証に備えた。 一方、より信頼性の高い格子ゲージ理論の計算機シミュレーションによる研究をさらに押し進め、前年度までにフレーバー数12のQCDが(自発的に破れていない)コンフォーマル対称性をもつことを示したのに続き、フレーバー数8のQCDは自発的に破れた近似的コンフォーマル対称性をもつウォーキング・テクニカラーの候補となる理論であることを発見した。さらにフレーバー数12の場合にパイオンの量子数の粒子よりさらに軽いフレーバー1重項の複合スカラー粒子を発見した(Phys. Rev. Lett.に掲載)。これはその後他のグループでも確認されてほぼ確立した画期的成果である。さらにフレーバー数8の場合にもパイオンと同程度のフレーバー1重項の複合スカラー粒子を発見した。フレーバー数8はウォーキングテクニカラーの候補であり、この発見は125GeVのテクニディラトンとしての軽い複合ヒッグス粒子の候補を計算機シミュレーションによって初めてとらえたことを意味する。 またデータのカイラル外挿が本質的になるため、新たにディラトンを含むスケール不変カイラル摂動論を開発し、データから質量と崩壊定数を同時に推定する公式を発見した。 今後さらにデータを増やすことにより、再開されるLHC実験での検証に備える展望が開かれた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
LHCで発見されたヒッグス粒子がウォーキング・テクニカラーの予言するテクニディラトンと同定できることは本研究での最大の成果であり、世界的に大きな影響を与えている。あらたに他の粒子(テクニパイ、テクニロー)の定量的予言もホログラフィーで行い、2015年に再開されるLHC実験で標準模型を越える理論の探索に大きな可能性を開くものと確信する。 さらに、格子ゲージ理論の計算機実験は、もっとも難しいと思われていたフレーバー1重項のスカラー粒子およびグルーボールの測定に、最新の様々な技術を駆使して非常にクリーンなシグナルを得ることに成功し、軽い複合ヒッグスの候補の計算機探索で世界のトップに立つことができた。フレーバー12におけるパイオンより軽いフレーバー1重項スカラーの発見は他のグループでも追認され、確固たる発見である。さらにフレーバー数8のシミュレーションは、競合していたアメリカのグループが桁外れの巨大な計算機資源を用いて2年近くを費やしながら有意な結果を得られなかったのに対し、ウォーキングの性質の同定および軽いスレーバー1重項スカラーの発見の両方を成し遂げたものであり、特筆に値する。 さらにスケール不変カイラル摂動論を開発しシミュレーションデータからカイラル極限の質量と崩壊定数を読み取る方法の発見した。これは今後の解析に決定的であり、複合ヒッグス粒子の候補となる軽いスカラー粒子の性質をLHC実験で検証できる精度にまで格子ゲージ理論の計算機シミュレーションで予言できる可能性を拓いた。
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Strategy for Future Research Activity |
KMIの専用計算機「ファイ」を用いての計算機実験は、導入後2年間でウォーキング・テクニカラーが予言する軽い複合ヒッグス粒子の候補としての軽い複合スカラー粒子の存在の兆候を世界で初めてとらえて、先行研究を出し抜いた。しかしながら、LHC実験でのヒッグス粒子発見以来、複合ヒッグス粒子の候補を計算機実験で探す研究は世界的に競争が激化しており、優位性を保つには統計量を飛躍的に増やし決定的なデータを得る必要がある。そのためには計算機の能力・計算時間の確保は絶対的に必要なものである。現在フル稼働してきたファイ以外に本研究計画の資金でH22年度、H24年度に購入した補助的な計算機もフル動員して、さらに九州大学、名古屋大学の情報基盤研究開発センターの大型計算機を本研究資金でレンタルしている。複合粒子スペクトルのデータの統計を上げる一方、スペクトル以外の物理量の測定を行い多面的な解析によりウォーキングテクニカラーの候補となる新しい力学を全面的に解明して、2015年から再開されるLHC実験でのウォーキングテクニカラーの定量的検証に備える。 またテクニディラトンのみならずウォーキングテクニカラーの予言する様々な粒子の定量的予言を行い、LHCでの検証に備える。
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Research Products
(89 results)
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[Journal Article] The scalar spectrum of many- flavour QCD2014
Author(s)
Y. Aoki, T. Aoyama, M. Kurachi, T. Maskawa, K.- i. Nagai, H. Ohki, E. Rinaldi, A. Shibata, K. Yamawaki, T. Yamazaki
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Journal Title
Proceedings of KMI-GCOE Workshop on Strong Coupling Gauge Theories in the LHC Perspective (SCGT 12)
Volume: SCGT 12
Pages: 80- 88
DOI
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[Journal Article] Gluonic observables and the scalar spectrum of twelve- flavour QCD2013
Author(s)
Y.Aoki, T.Aoyama, M.Kurachi, T.Maskawa, K.Miura, K.- i.Nagai, H.Ohki, E.Rinaldi, A. Shibata, K.Yamawaki, T.Yamazaki,
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Journal Title
Proceedings of Science
Volume: Lattice2013
Pages: 073 (1- 7)
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[Journal Article] A light composite scalar in eight- flavor QCD on the lattice2013
Author(s)
Y.Aoki, T.Aoyama, M.Kurachi, T.Maskawa, K.Miura, K.- i.Nagai, H.Ohki, E.Rinaldi, A. Shibata, K.Yamawaki, T.Yamazaki
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Journal Title
Proceedings of Science
Volume: Lattice 2013
Pages: 070 (1- 7)
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