2010 Fiscal Year Annual Research Report
地球環境保全を目指した海洋生物における石灰化の制御機構の解明
Project/Area Number |
22228006
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
長澤 寛道 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (60134508)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小暮 敏博 東京大学, 大学院・理学系研究科, 准教授 (50282728)
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Keywords | 石灰化 / 地球環境保全 / 温室効果ガス / 海洋生物 / バイオミネラリゼーション / サンゴ / 有機基質 / 軟体動物 |
Research Abstract |
本年度は個々の対象生物について、以下の結果を得、最後に全体をまとめた。 1.円石藻のココリス形成機構を研究するために、外来遺伝子導入法を検討した。低張液に浸すことによってプロトプラストの調製に成功した。3つの方法で遺伝子導入を検討した結果、ポリエチレングリコール法が最も効率よく安定して導入できることが示された。 2.アコヤガイの真珠層形成に重要と考えられるPif80はカルサイトよりアラゴナイトにより強く結合する性質を有する。Pif80の分子のどの部分がその性質を担っているかを検討した。クロチョウガイ、マベガイとの配列比較から2か所の共通配列を見出し、その部分を含むペプチドの組換え体を調製した。また、それ以外の部分を選び、対照とした。それらについて、炭酸カルシウムとの結合実験を行ったところ、共通配列を含む部分はカルサイトよりアラゴナイトにより強く結合することが示唆された。 3.造礁サンゴの一種であるアザミサンゴで唯一同定されている骨格有機基質galaxinについて、その繰り返し構造の特徴を利用して、様々な長さの部分ペプチドおよび全長のタンパク質を調製し、炭酸カルシウム結晶に対する結合能を調べた。その結果、結合する可能性が高いことを示されたが、その後結合したタンパク質が回収されないことから、最終結論は得られていない。これらの組換えタンパク質のキチン結合能を調べたが、同様の結果しか得られず、さらに検討が必要である。 4.甲殻類の石灰化組織は、非晶質炭酸カルシウムでできているが、その要因としてのリン含有低分子化合物を同定した。 5.以上の結果から、有機基質の石灰化における一般的な役割を模式図として表した。
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Research Products
(31 results)