2010 Fiscal Year Annual Research Report
統合的心筋梗塞治療に向けた新たな分子レベルでの基礎研究
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22229007
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
佐藤 匠徳 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 教授 (60548759)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
赤沼 啓志 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 助教 (50450721)
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Keywords | 心筋梗塞 / 線維化 / 組織再生 / sFRP2 / Pcolce-1 / 血管内皮細胞 |
Research Abstract |
我々は2009年に、sFRP2という細胞外分泌性タンパク質の機能抑制が心筋梗塞において、線維化抑制及び心機能改善を引き起こすことを見出した(Nature Cell Biology,2009)。この発見は心筋梗塞において、sFRP2の発現・機能抑制が心筋細胞再生促進、心血管再生促進、線維化抑制すべてにつながることを示した。したがって、sFRP2及びその関連因子群の発現・機能を抑制することにより、梗塞後の心機能改善をこれまでのような一次元的でなく、新たな多次元的治療により実現できる可能性がひらけた。そこで、平成22年度は心筋梗塞におけるsFRP2とその関連因子群の発現、機能調節機構の全容を明らかにすること、また、さらに効率のよい治療法につながる新規の分子ターゲットを同定することを目的に研究を実施した。その結果、以下3点の成果をあげた。 ●心筋梗塞におけるsFRP2の発現・機能調節の全容を明らかにした。この成果から、sFRP2の発現・機能抑制をターゲットにした、新たな分子治療方法の開発が期待される。 ●sFRP2と同様に線維化促進に関わる、新規のPcolce-1というタンパク質の発現が、心筋梗塞後の線維化期特異的に上昇することを明らかにした。これは、Pcolce-1の発現・機能抑制が、新たな心筋梗塞治療のための分子ターゲットとなりえる可能性を示唆した。 ●ダメージを受けた組織が再生する際に、血管内皮細胞由来の分泌性タンパク質因子群がまわりのダメージを受けた組織の細胞に働きかけることにより、その組織の再生を促すという、新規の組織再生メカニズムを発見した。この発見は、心筋梗塞後の心組織再生の新規治療方法の開発につながるものと期待される。この発見は論文として発表された(Nature,468,310-315,2011)。
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Research Products
(2 results)