2011 Fiscal Year Annual Research Report
緊張時のパフォーマンス崩壊メカニズムの解明と公開型スポーツ脳機能解析施設の構築
Project/Area Number |
22240070
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
石井 源信 東京工業大学, 大学院・社会理工学研究科, 教授 (20108202)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小谷 泰則 東京工業大学, 大学院・社会理工学研究科, 助教 (40240759)
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Keywords | 予測判断 / パフォーマンス崩壊 / メンタルトレーニング |
Research Abstract |
本研究では、緊張状態におけるパフォーマンス崩壊は、脳のどのようなメカニズムで発生するかを検討することを目的としている。平成23年度は(1)パフォーマンス崩壊時の脳活動の測定、(2)fMRI実験・分析テンプレートの構築に関して検討を行った。 パフォーマンス崩壊時の脳活動については、テニス・サーブの予測課題遂行中の脳活動をfMRIを用いて測定した。実験では、スクリーンに映し出されるテニス・サーブの映像を見て、サーブがセンター方向に打たれるか、クロス方向に打たれるかの予測を行うよう被験者に求めた。特にパフォーマンスの崩壊を発生させるために、映像呈示時間を操作し、予測判断が困難になるようにするとともに、実験者がテニス・サーブの動画を選択するようにした。実験者は、可能な限り被験者の選択が正答とならないようにし、パフォーマンスの崩壊が発生するように操作した。一定以上の不正解が生じた時間をパフォーマンスの崩壊と定義し、パフォーマンスの崩壊時の脳活動と、予測が正解であった試行(成功試行)との脳活動を比較した。その結果、パフォーマンス崩壊時には、前頭部内側部の活動が高まっていることが示された。テニス・サーブ予測時の脳活動としては、視覚野の腹側部がパフォーマンス崩壊時と成功試行ともに賦活していた。これらのことより、前頭部内側部がパフォーマンス崩壊に関与していることが示され、前頭部内側部を抑制することがパフォーマンス崩壊に効果的であることが示された。また、パフォーマンス崩壊のメカニズムをより明確にするために、質問紙を用いたパフォーマンス崩壊因子の特定についても検討を開始し、具体的な質問項目の作成ならびに尺度構成を行った。 実験・分析テンプレートの構築に関して、特に、パフォーマンスの内容ごとに脳活動を比較できるような配布可能なソフトウエアパッケージを開発した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、パフォーマンス崩壊時の脳活動を測定することが研究の中で重要な位置づけとなっている。23年度では、脳活動に必要となる課題の作成・修正を行ったうえで、パフォーマンス崩壊時の脳活動を測定することができた。また当初予定していた被験者人数(20名)を越える被験者の数(30名)を確保でき、データとしての信頼度も増すことができた。以上のことより、おおむね順調に研究は進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、脳のどこがパフォーマンスの崩壊に関与しているのかだけではなく、どのような脳内の神経ネットワークでパフォーマンスの崩壊が生じているかを検討する必要がある。特にパフォーマンス崩壊の要因をモデル化する必要があり、質問紙を用いた調査的手法が必要になると考えられる。もし、質問紙を用いたデータからパフォーマンス崩壊の因子構造が特定できれば、その因子と脳機能分析で得られた脳活動部位を比較することによって、脳内の神経ネットワークの各領域の機能を類推することも可能となる。また、得られた脳活動に対してもネットワーク解析することにより、質問紙で得られた因子構造と脳機能のネットワークを比較しパフォーマンス崩壊の神経ネットワークの機能的な解釈に用いることができるものと思われる。
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Research Products
(6 results)