2012 Fiscal Year Annual Research Report
多種トレーサーおよび複数モデルを用いた温室効果気体の化学・輸送・フラックスの解明
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22241008
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
PATRA Prabir 独立行政法人海洋研究開発機構, 地球環境変動領域, 主任研究員 (70392967)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石島 健太郎 独立行政法人海洋研究開発機構, 地球環境変動領域, 研究員 (90399494)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | TransCom-CH4 / 大気輸送モデル総合比較 / メタン航空機観測 / 南アジア炭素収支推定 / トップダウン / ボトムアップ |
Research Abstract |
<TransCom-CH4結果と航空機観測を用いたメタン鉛直分布の解析> TransCom-CH4(メタン計算に関する大気化学輸送モデル国際総合比較)に参加した12のモデルのメタン計算結果を用い観測値と比較し解析を行った。観測値としては世界13地点おける航空機観測データを用いた。どのモデルも概ね相関係数0.5以上で観測と良い一致を示したが、高度2km以下で観測ーモデル間の相違が大きくなるケースが見られた。一方でモデル間の相違は積雲対流の強い地域で大きいということが分かり、モデルの対流に伴う鉛直輸送の再現能の重要性が示唆された。本研究結果は今後のインバースモデリング計算による地表フラックスの推定精度の改善に非常に有益な情報を提供している。 <南アジアにおける炭素収支の推定> トップダウン法(大気観測データを用いたインバースモデリング)とボトムアップ法(現地フラックス観測、衛星観測、陸域生態系モデル)の両手法を利用して、南アジア域(バングラデシュ、ブータン、インド、ネパール、パキスタンおよびスリランカ)における二酸化炭素(CO2)とメタン(CH4)の放出量と吸収量を推定した。それら結果を総合すると、2000年代には南アジアから37 ± 3.7 Tg-C/yrが放出されていたと推定された。CH4を地球温暖化係数で重み付けしてCO2換算したトータルの炭素放出量としては1148 Tg-C/yrとなり、メタン排出の削減が温室効果ガス濃度の削減において極めて効果的であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
単一のモデルだけではなく、複数の大気輸送モデルを用いてモデルの大気輸送を評価し、また大気中メタン濃度変動への影響を理解した(Saito et al., 2013) 南アジアにおけるトップダウンおよびボトムアップ手法による炭素収支推定値を統合し、概算を発表した(Patra et al., 2013)
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Strategy for Future Research Activity |
メタンや一酸化二窒素等の全球循環や収支推定の精度を高めるため、大気化学と地表フラックス変動のプロセスレベルにおける理解を目的としたモデル解析を行なってゆく。
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Research Products
(5 results)