2010 Fiscal Year Annual Research Report
単分子磁石に対する原子空間分解能を持つスピン状態測定と操作
Project/Area Number |
22241026
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
米田 忠弘 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (30312234)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 恵一 東北大学, 理学研究科, 助教 (80374742)
濱田 幾太郎 東北大学, 原子分子材料科学高等研究機構, 助教 (80419465)
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Keywords | 単一分子磁石 / 分子磁性 / 近藤温度 / 走査型トンネル顕微鏡 / 走査型トンネル分光 |
Research Abstract |
単一分子磁石はスピンを用いた量子情報処理の電子素子材料としても注目され、現在合成技術の進歩により磁石としての高い転移温度の合成が報告されている。しかしながら表面薄膜形成時のスピンの挙動はほとんど明らかにされていない。本研究では、そのスピンの挙動を、分子吸着構造・電子状態を明らかにした上で、スピン計測、分子合成と、理論シュミレーション班が一体となって解明することを申請時の目標として掲げている。手法としては高い空間分解能と物性を検知できるトンネル分光の能力を兼ね備えた走査型トンネル顕微鏡を用い、それらをヘリウムを寒剤として用いた極低温状態で動作させ精密な電子・スピン状態の測定と、構造の同時計測を行う。今期は、テルビウムを中心金属とし上下2層がフタロシアニン配位子であるTbPc2錯体を分子として用い、スピンの検出をトンネル電流の分光により近藤共鳴の鋭いピークとして計測する手法によりスピン状態および分子スピンで形成される近藤状態の形成メカニズムを探索する実験を行った。金(111)表面上に真空蒸着で形成されたTbPc2膜において鋭い近藤共鳴を見出したが、その特性すなわちそのピーク幅から導かれる近藤温度や強度分布が分子内部において明瞭な空間分布を示すことを見出した。それと同期して、電子状態においても鋭いピークがエネルギー位置を変化させることを見出した。これらは理論計算により分子による遮蔽効果・電荷蓄積が寄与した現象である事が裏付けられ、近藤共鳴出現機構の知見に貢献したと考える。
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Research Products
(15 results)