2011 Fiscal Year Annual Research Report
海洋等における外来生物の駆除が生態系の物質循環に与えるインパクト
Project/Area Number |
22241055
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
可知 直毅 首都大学東京, 理工学研究科, 教授 (30124340)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平舘 俊太郎 独立行政法人農業環境技術研究所, 生物多様性領域, 主任研究員 (60354099)
川上 和人 独立行政法人森林総合研究所, 野生動物研究領域, 主任研究員 (50353652)
吉田 勝彦 独立行政法人国立環境研究所, 生物・生態系環境研究センター, 主任研究員 (70332244)
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Keywords | 海洋島 / 外来生物 / 駆除 / 物質循環 / 海鳥 / 土壌 / リン |
Research Abstract |
野生化ヤギ駆除後の土壌中の栄養元素量と環境要因との関係を解析した。その結果、土壌中の窒素量は、海鳥の営巣の有無、ヤギ駆除前の植生の退行の程度と現存植生の種構成と関係した一方で、土壌中のリンの量は、海鳥の営巣の有無、ヤギ駆除前の植生の退行の程度と地形と関係したことが明らかになった。 海鳥の営巣環境の種間差を明らかにするため,繁殖地の植生調査を行った。その結果、オナガミズナギドリ,カツオドリではシバ草地が,クロアシアホウドリではその他のイネ科草地が好まれていた.また、海鳥の体が大きいと、植生が倭小化,枯死する傾向があり,踏圧の影響が大きいことがわかった。 媒島のノヤギ駆除前・駆除中・駆除後および最新の空中写真を詳細な地形情報(東京都、2009)に基づき幾何補正し、過去の土地被覆状況と現地調査データとの関連性を調べた。結果、一度ノヤギにより裸地化した場所は、表土の垂直方向の流出による深掘れの影響で植生が回復しにくい一方、有効体リン酸塩等の濃度にはばらつきが見られ、過去の海鳥の営巣による影響や、土壌栄養塩濃度による植生の種組成の違いも確認できた。西島における植生変遷も解析中である。 小笠原諸島・父島、母島、兄島、媒島、西島、鳥島から40種の植物の葉をサンプリングし(n=4~45)、植物体内におけるN,P,K,Ca,Mg含量を測定した。その結果、約半分の植物種で高Mg含量と判断された。これは、高Mg含量の地質に由来する高Mg環境によるものであり、種によっては何らかのメカニズムで適応していることが推察された。 昨年度までに開発した数理モデルを用いて、島の生態系から外来ヤギとネズミを駆除するシミュレーションを行った。その結果、ヤギとネズミは同時に駆除した方が生態系の回復が促進されること、ネズミに対する駆除努力が不足していたり、駆除努力を途中で中止したりすると、絶滅してしまう在来種の種数が多くなる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
離島における野外調査を予定どおり実施することができ、外来生物(ヤギ、クマネズミ)の駆除が海鳥の営巣や植生バイオマスや土壌栄養元素量に及ぼす影響に関する成果が得られた。また、得られた結果から上記の影響のプロセスに関する仮説を提言するための基礎情報を得た。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度以前より継続的に実施している野外調査を実施し、得られたサンプルの化学分析を実施する。また、これまでに明らかになった相関関係から、野外調査により、より具体的かつ検証可能なプロセスに関する仮説を提案する。さらに、これまでに作成した小笠原生態系モデルを利用し小笠原諸島で実施・計画されている外来種駆除の影響を解析する。かえって在来種を絶滅させてしまう駆除シナリオが見つかった場合には、そのシナリオの修正方法を検討する。
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Research Products
(28 results)
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[Presentation] Impacts of eradication of alien species on island ecosystems : Spatial distributions of carbon, nitrogen and phosphorus in soils after goat eradication2012
Author(s)
Hata, K., Kohri, M., Morita, S., Hiradate, S., Kachi, N.
Organizer
5th EAFES (East Asian Federation of Ecological Societies) International Congress
Place of Presentation
大津(龍谷大学)
Year and Date
2012-03-20
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[Presentation] Characteristics of mineral compositions of plants growing on Ogasawara Islands, Japan2012
Author(s)
Hiradate, S., Morita, S., Kusumoto, Y., Koyanagi, T., Hata, K., Sugai, K., Kato, H.
Organizer
日本生態学会(第59回大会)
Place of Presentation
大津(龍谷大学)
Year and Date
2012-03-20
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