2011 Fiscal Year Annual Research Report
日本古典籍における【表記情報学】の基盤構築に関する研究
Project/Area Number |
22242010
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Research Institution | National Institute of Japanese Literature |
Principal Investigator |
今西 裕一郎 国文学研究資料館, 館長 (90046219)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 鉄也 国文学研究資料館, 研究部, 教授 (10232456)
野本 忠司 国文学研究資料館, 研究部, 准教授 (20321557)
江戸 英雄 国文学研究資料館, 研究部, 助教 (50290870)
相田 満 国文学研究資料館, 研究部, 准教授 (00249921)
海野 圭介 国文学研究資料館, 研究部, 准教授 (80346155)
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Keywords | 国文学 / 表記情報学 / 本文研究 / 源氏物語 |
Research Abstract |
本研究の目的は、『源氏物語』を中心とした古典文学作品のテキストを対象として、ある語を仮名で書くか漢字で書くかという、「表記」の観点から見直すことにある。諸本間における表記実態や態度の差異に注目し、外部徴表ではなく本文内部のデータを基にして、伝本全体、あるいは同一伝本内の巻々の性格、素性の分析を試みるものである。そのため、研究遂行上必要となるテキストとしての翻字本文も作成し、そのデータベース化を行なう。平成23年度は正徹本(国文学研究資料館蔵、全54巻)を翻字対象とし、全本文をデータベース化した。さらに全巻全丁の画像撮影も果たし、文節に切った本文とその語を含む写本の当該画像の相互検索・表示が可能なデータベース化を完成させた。印刷物として発行した研究成果報告書には、この正徹本の本文と画像を収録したDVDを付した。 正徹本の本文と画像のデータベースを基盤として、これを有効に活用しながら、さまざまな語における漢字表記、仮名表記を抽出し、表記情報に関する本研究課題を進展させていくための基盤が用意されたことになる。今後は、さらに諸本や他の作品を追補し、作品研究の成果と共に、より有効な研究に資するデータベース化にも取り組んでいきたい。 また、研究会は当初は年3回の予定であった。しかし、研究成果の進展が顕著であったために、計4回(5月・9月・12月・3月)開催した。各回3~4人の研究発表があり、活発な議論と有意義な情報と意見の交換がなされた。それらは、研究成果報告書に収載されている。 計画していた翻字対象とする写本と版本のうち、池田本・首書本の本文の翻字とそのデータベース化は、平成24年度も引き続き継続する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究遂行上必要となるテキストとして、正徹本(国文学研究資料館蔵、全54巻)の翻字本文と写本の全丁画像を作成し、文節に切った本文とその語を含む写本の当該画像の相互検索・表示が可能なデータベース化を完成させた。印刷物として発行した研究成果報告書には、この正徹本の本文と画像を収録したDVDを付した。また研究会も当初の予定よりも多く開催できた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度には、イタリア(フィレンツェ)において国際研究集会を計画している。これは、日本文学の国際化に対応するものであり、表記情報から作品理解への問題を海外の研究者と共に考えていきたい。研究基盤となる資料については、絵入源氏・首書源氏・湖月抄(すべて国文研蔵)と池田本(天理図書館蔵)の本文データベース化と、さらには私家集の本文の調査にも着手する予定である。
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Research Products
(13 results)