2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22242024
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
関根 達人 弘前大学, 人文学部, 教授 (00241505)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
榎森 進 東北学院大学, 文学部, 教授 (10145972)
菊池 勇夫 宮城学院女子大学, 学芸学部, 教授 (20186191)
中村 和之 函館工業高等専門学校, 一般科目, 教授 (80342434)
北野 信彦 東京文化財研究所, 保存修復化学センター・伝統技術研究室, 室長 (90167370)
深澤 百合子 東北大学, 国際分化研究科, 教授 (90316282)
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Keywords | 蝦夷地 / アイヌ / 和人 / 中世城館跡 / 樺太 / 千島 / 交易 / 北方警備 |
Research Abstract |
1.北海道渡島半島における和人館跡については、昨年度に引き続き北斗市矢不来館跡の発掘調査を行った。その結果、館跡中心部の宗教的・儀礼的空聞から、館主に連なると推測される人物の墓2基を検出した。矢不来館跡の発掘成果については検出遺構・出土遺物の整理・分析を終え、報告書の執筆も最終段階にきている。来年度の早い段階で報告書を刊行する。 2.北海道内の近世江石造物調査は、西蝦夷地は余市町から稚内市まで、東蝦夷地は厚岸町以西の地域が終了した。来年度残りの地域、即ち西蝦夷地は枝幸町から斜里町まで、東蝦夷地は浜中町から羅臼町まで、全て調査を終える予定である。 3.サハリン(旧樺太)に関しては、サハリン大学考古学・民族誌研究所と共同で、樺太における日本支配の拠点が置かれていた白主の踏査を行い、会所跡を確認し測量を行った。また、サハリン州立郷土誌博物館に所蔵されている出土品の中から日本製品を抽出し、写真撮影・実測図の作成・簡易蛍光X線分析装置を用いた非破壊による材質分析を行った。今年度で金属製品・木製品が終わり、ガラス玉については来年度も継続調査する予定である。 4.北海道出土の中世人骨については、上ノ国町内で出土し、未報告となっていた資料について形質人類学的調査と年代測定・食性分析を行った。 5.北方警備ならびに蝦夷地交易については、「庚申万延元年蝦夷地久奈尻御領分御引請留」(内閣文庫蔵)、「安政四年北蝦夷地引渡目録」(北海道立文書館蔵)、弘前藩斜里勤番士斉藤勝利の「文化四丁卯年松前箱館江急御箇御人数渡海一条」の調査・分析を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度予定していた矢不来館跡の発掘調査報告書の刊行は、発掘調査そのものの経費がかさみ、印刷費が足りなくなったため、報告書の原稿はほぼできているものの来年度に延期することとなった。サハリンの調査に関しては、当初計画以上に進んでおり、来年度中に調査を終えることができそうである。全体としては、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は、本研究の中間報告として、『北海道渡島半島における中世城館跡の研究-北斗市矢不来館跡の発掘調査報告-』と、『箱館・江差の近世墓標』を刊行する予定である。また、最終年度にあたる再来年(平成25年)の秋には、札幌においてサハリンからロシアの研究者を招いて国際シンポジウムを開き、本研究成果を一般にも公開する計画で、そのための準備を進めている。
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Research Products
(19 results)