2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22243031
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
金井 壽宏 神戸大学, その他部局等, 教授 (80135780)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉万 俊夫 京都大学, 人間・環境学研究科(研究院), 教授 (10135642)
松尾 睦 神戸大学, 経営学研究科, 教授 (20268593)
高橋 潔 神戸大学, 経営学研究科, 教授 (90298555)
中原 淳 東京大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (00342618)
鈴木 竜太 神戸大学, 経営学研究科, 准教授 (80295568)
松嶋 登 神戸大学, 経営学研究科, 准教授 (10347263)
小野 善生 関西大学, 商学部, 准教授 (80362367)
服部 泰宏 滋賀大学, 経済学部, 准教授 (70560150)
尾形 真実哉 甲南大学, 経営学部, 准教授 (50454723)
守島 基博 一橋大学, 商学研究科, 教授 (60230116)
浦野 充洋 静岡県立大学, 経営情報学部, 助教 (10613614)
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Keywords | 現場 / 実践 / 人材育成 / キャリア / リーダーシップ / 学習 / フィールド調査方法論 |
Research Abstract |
本研究の目的は、企業の現場で行われている人材育成の実践を、リーダー人材との関係、および制度との関係から考察し、人材育成の実践を捉え得る方法論を確立することにある。この目的のもと、本研究は、次の三段階を経てなされる。第一段階は、既存研究の横断的整理、第二段階は、方法論を含む統合的理論フレームワークの構築、第三段階は、統合的フレームワークを踏まえ、具体的な人材育成のあり方の検討、および本研究のアプローチの経営学における他の研究分野への応用可能性の検討である。二年目にあたる本年度は、当初の計画通り、上記の二段階、統合的理論フレームワークの構築に取り組んだ。具体的には、研究会を通じて、リーダーシップ、制度研究はもちろんのこと、本科研メンバーのそれぞれの専門分野である、組織開発、組織変革、経験学習、心理的契約、組織社会化、HRM、キャリア論、フォロワーシップなどの知見を踏まえたフレームワークの統合・深化を検討した。方法論に関しても、組織エスノグラフィ、ナラティブアプローチ、言説分析、アクションリサーチといった質的方法についての検討を昨年度に引き続き行った。また、創造性、組織文化、リーダーシップ、学習の測定尺度の検討をはじめ、量的方法についても検討を行った。 これらの成果は国内外の学会および学術雑誌、または著書において発表された。また、当初の研究計画では、第三段階は次年度以降に計画されていたが、昨年度より予定を前倒ししていくつかのフィールド調査に着手しており、その成果が学会報告や査読付き学術論文として結実した。例をあげると、シャープの緊急プロジェクトにまつわる制度分析、若年就業者の組織への適応に関する研究などである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度に計画していた研究プロジェクトのうち、百貨店におけるアクションリサーチを通じた研究方法論の確立、シャープの緊急プロジェクト制度を対象にしたフィールド調査の分析などのプロジェクトは次年度に持ち越し、継続的に取り組むこととなった。一方、職場を学習の場として捉えた経営研究と学習研究の融合、質的・量的研究の方法論の展開など、理論的論考に基づいた国内外の研究発信が進み、総合的に見れば、おおむね順調な進展だと思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
第一の課題は、統合的理論フレームワークの更なる精緻化である。今後、これまでに検討してきた研究成果を国内外の学会で報告し、骨太な議論として鍛えていくことが必要になる。第二の課題は、具体的な人材育成のあり方の分析を深化していくことである。そのために、一層の経験的研究の蓄積が必要である。第三の課題として、当初の計画にあった通り、本研究において検討されたアプローチが、人材育成のみならず経営学の他の分野においても応用可能であるのかの検討に着手していくことである。そのためには、本科研メンバーによる研究会に加え、基礎学問分野の専門家を交えて方法論を検討していくことが必要である。最後に、本科研のもとでの研究成果を、内外の学会で報告するだけではなく、同時に実務界へ向けて発信していくことが必要になる。
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