2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22244005
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大鹿 健一 大阪大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (70183225)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
相馬 輝彦 首都大学東京, 理工学研究科, 教授 (50154688)
和田 昌昭 大阪大学, 情報科学研究科, 教授 (80192821)
遠藤 久顕 東京工業大学, 理工学研究科, 教授 (20323777)
宮地 秀樹 大阪大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (40385480)
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Keywords | クライン群 / タイヒミュラー空間 / 写像類群 |
Research Abstract |
本年度は以下のような内容の研究を推進した. クライン群の変形空間の境界のreductionとその対称性の研究:Teichmuller空間のBers境界の中に含まれる擬等角変形空間をそれぞれ1点につぶして得られる商空間(reduced Bers boundary)を導入した.そこには写像類群のTeichmuller空間への作用が連続に拡張することを示した.さらにこの空間の対称群は, 拡張された写像類群に完全に一致することを証明した.同様の商空間はTeichmuller ray compactificationでも考えられ,そこにも写像類群の作用が拡張し,対称群は拡張された写像類群に一致する.しかしこの2つの商空間は全く位相が異なり,2つの位相の間に強弱の関係もないことが分かった. Seifertファイバー空間のSmale予想の研究:基本群が無限群であるような,Seifertファイバー空間について,恒等写像とホモトピックな自己微分同相写像全体が作る空間は可縮であることを示した.これは球面についてのSmale予想の自然な拡張になっている. 極値的長さによるタイヒミュラー空間のコンパクト化の分析とその応用:Gadniner-Masurによる,双曲的長さの代わりに,極値的長さを用いたTeichmuller空間のコンパクト化について,その境界の様子を詳しく調べた.その応用として,Ryodenの剛性定理の新しい証明を与えた. 以上の研究について,KIAS, 東工大,KAIST, Aarhus大学,Carry-le-Rouet, 昆明理工大学,RIMS等の研究集会で発表を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初からの目的にあった,クライン群の変形空間の境界の構造の解明については,大鹿が着実な研究成果を積み重ねている.大鹿と宮地はさらにタイヒミュラー空間の様々なコンパクト化についての研究を進めたが,この研究はタイヒミュラー空間論として重要であるのみならず,変形空間の構造解明にも役立っている.写像類群の研究については,写像類群が新たに作用する空間を構成することにより幾何学的な側面からの研究を推進している.さらに相馬の3次元多様体の研究を加えることにより,当初の目的の研究が着実に進歩している. 以上のような研究について,それぞれ論文を執筆し,それらはコンスタントに出版,アクセプトされており,論文にする前の結果についての,国際的な研究集会での発表も多く行っている. 研究集会の企画において,予定されていた外国人が来日できないトラブルがあったが,次年度に来日要請をすることにより,研究遂行上の支障とはならなかった.
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の方向としては以下のような方針を立てている. クライン群の変形空間については,今後は幾何的極限とその連続的変形の理論を構成することによって,新しいコンパクト化とその位相構造を調べ,そこからの写像を用いて,本当の境界の構造を調べることに取りかかる. さらに本研究の全体に,幾何的群論,漸近幾何的手法を取り入れた研究手法を取り入れたい.昨今3次元多様体のvirtual Haken予想の解決にArtin群とcube complexの理論が本質的に使われたが,これらの理論はより多くの応用があると考えられるので,これらを我々の研究に大胆に取り入れ,活用する. 新しい手法を取り入れるに当たり,国際研究集会,外国人研究者招聘については,元来計画していたメンバーとは少し入れ替えた人選になると予想される.一方で,この新しい手法については韓国,中国,シンガポールでも大いに研究されているので,これまで推進してきた東アジアの研究者交流は継続,発展させていく.
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Research Products
(21 results)